<パブリックで輝くひと> 尾崎えり子さん
奈良県生駒市教育指導課教育改革担当
(株)新閃力代表取締役社長/ICT授業作家
<聞き手>
WOMANSHIFT 本目さよ(台東区議会議員)
たぞえ麻友(目黒区議会議員)
支えてくれたのは、教育指導課の上司や同僚たち
たぞえ 教育委員会、しかも教育指導課というと、昔ながらのスタイルが根強いところと、超先進的なところと分かれるのかなと思いますが、生駒市の場合はいかがでしたか?
尾崎さん 私を採用していただいた時に、実は最終面接で「もし、私を採用してくださるなら現場で私と一緒にプロジェクトを進めていくことがミッションの人を配属してほしい」とお伝えしました。そうしたら、市長や人事課の方々が聞いてくださって、本当に生駒市役所のエースが私の配属と同時に異動をしてきてくれたんです。生駒市では、行政職が教育指導課に異動するのは初めてのことだったそうです。彼も私と同様、完全アウェーの状態で教育指導課に入ったんですよ。でも、彼は早々にして先生たちの信頼を得ていました。彼が行政と教育の間に入って橋渡しをすることよって、コロナ禍での迅速で的確な連携や判断ができるようになったのだと思います。また、彼が学校側からの信頼を勝ち得てくれたので、「彼が言うなら尾崎さんはたぶん良い人なんだろう」という評判が得られた部分も大きいです。生駒市の教育が進んでいるというのもありますが、プロ人材の活かし方への本気度が高いので、人材配置まで希望を叶えてくれたのだと思います。現在は月4日しか生駒市へ行けていないので、本当はもっと行けたら、教育改革のスピードを3倍ぐらいに上げられるのにと、とても悔しいです。
たぞえ このインタビュー企画「パブリックで輝くひと」では、官と民を行き来する人にインタビューしているんですが、尾崎さんは考え方が最も行政から遠い人なのかなと思います。ただ、話をよく聞くとか、尊敬するとか、そういうベースが公共の人たちにフィットしたのではないでしょうか。生駒市の決断は素晴らしかったと思いますね。
尾崎さん 入職してたった1年半ですけど、新しいチャレンジに対して教育長、部長、次長、課長、そして教育指導課の皆さん全員が、私のことを信頼してサポートしてくれる体制をとってくださっていて、本当に有難いです。私を採用してくれたこと、応援してくれる体制を作ってくれたことに、心から感謝しています。
たぞえ すごく良いフォーメーションになっているんですね。葛藤がない組織ってそうそうないですよね。子どもたちのために、何事にも負けずに頑張ってもらいたいなと思います。外部人材として週2・テレワークという形が他で類を見ないので、全国から注目されていますし、尾崎さんが新しい境地を切り拓いてくれていると思っています。
たぞえ 尾崎さんといえば、ご経歴がとてもユニークで、お笑い養成所にも入っていましたよね。なんでもできるんだろうなとは思いますが、得意なこと、不得意なことはなんでしょうか?それが今のキャリアに関係しているのでしょうか?
尾崎さん できないことだらけですけど、決められたことをやるとか、ミスなく繰り返すというのは、集中力が続かず本当にできません。あまりにクオリティが低いので、苦手な仕事は他の人に頼んでいます。でも、新しい企画だったら5時間ぐらい集中してられるんですよね、ゾーンに入ったら。
小さい頃から目立ちたがり屋でしたが、勉強がずば抜けてできたわけじゃないし、学級委員になれるような人望もなかったので、ずっと「何だったら私は1位になれるんだろう、目立てるんだろう」と、隙間探しをしてきました。幼稚園の年長さんぐらいからですかね、学芸会でお姫様役は先生が選んでいたので、羊飼いならどう動けばお姫様からスポットライトを奪えるのかをずっと考えていたんですよね。なので、企業の新規事業や商品PRで、どのエリアにいけば、どの軸で切り取れば目立つのか、まだ誰もやっていないと言えるようにするにはどこを少しずらせば面白くなるのかを考えるのが得意です。教育でいえば、教育的価値は先生が素晴らしい土台を作ってくれるので、少しだけずらせばユニークな授業になるんですよ。子どもたちも授業にエンターテインメント性が入ると楽しいし、教育という分野は、一番ずらして面白くなる範囲が広いと思います。逆にいうと、これまで何もずれてこなかった分野だからこそ、少しでもずらせば注目される領域なんじゃないかなと思っているので、私のフィールドとして適していると考えています。