「市議選、女性最多の1239人当選」
今年4月に行われた統一地方選挙の後半戦の結果を受けて、このように報じた新聞もありました。女性議員の数は確かに増えてはいるものの、それでもなお議会において少数派である彼女たちを取り巻く環境が大幅に改善されたわけではありません。
こうした中、女性の目線で政策実現できる若手女性議員を増やすべく奮闘する「WOMAN SHIFT(ウーマンシフト)」。その取り組みについて、代表の本目さよさんにお話を伺いました。
地方議会に女性の声は届いているか
政策実現できる女性議員を増やすことを掲げて活動をする若手女性議員のネットワーク「WOMAN SHIFT」の代表である台東区議会議員の本目さよさんは「実は、女性議員の殆どが50歳以上であり、50歳未満の女性議員の数は極端に少ないのです」と若い世代の女性議員が不足している現状を指摘します。本目さんが指摘するように、全国市議会議長会「市議会議員の属性に関する調(令和元年7月集計)」によると、女性議員の実に81.3%が50歳以上という現状が示されています。
そもそも地方議会には、女性議員の割合が少ないという課題が存在します。
内閣府が昨年3月に公表した「政治分野における男女共同参画の推進に向けた地方議会議員に関する調査研究報告書」によると、2018年末時点で地方議会における女性の割合は13.1%とその割合は極めて小さいことがわかります。
最も女性議員比率の高い特別区議会でも27.0%と 4人に一人しか女性議員はいないのです。その中でもさらに、若い世代の女性は極端に少なく、都道府県議会、市区議会、町村議会の各地方議会における女性議員の年代別比率をそれぞれ見ると、40歳代は20%を、30歳代になると10%を下回っており、さらに30歳未満になれば0.4~0.3%とその割合は極めて小さくなっています。もともと女性議員が少ない上に、若手女性議員の数は極めて少ないという実情があるのです。
WOMAN SHIFTは何を目指し、何を実現する?
WOMAN SHIFTは、2015年の統一地方選挙の直後に結成されました。2期目の当選を果たした本目さんが、仲間の女性議員たちに声をかけてスタートしました。
2011年に議員となった本目さんは、新人議員として活動をする中で、若手女性議員を支援する環境を整えることの必要性を痛感したそうです。「当時、所属した会派で初の女性であり、また最年少議員だったこともあり、議会のイロハを学ぶのには時間がかかりました。また地域活動においても、男性議員を前提としたような習慣も多く、女性の立場で苦労することもありました」と、当時を振り返ります。
様々な壁に直面しながら、その都度、議会の先輩や他都市の当選同期の議員などとも情報交換しながら、少しずつ議会での立ち回りを覚えていったそうです。
新人議員として、女性議員として、右も左もわからない中で苦労した経験は、後進への想いに繋がります。
『次の当選を果たすことができたら、女性議員を支える仕組みを作りたい』。2期目の選挙に挑む決心をした本目さんの胸にはそんな思いが湧き上がっていたのです。
女性議員候補を発掘・育成して議会に送る仕組みをもつ政党や組織もありますが、「暮らしの中に存在する社会課題を解決するために議員を目指す女性」を発掘して育成するような仕組みは世の中に存在しません。
社会の半分は女性であるにも関わらず、議会は男性ばかり。しかも30代や40代の子育て世代の女性となると、政治の世界には殆ど存在しないのです。
そんな課題感を胸に、WOMAN SHIFTは産声をあげました。代表の本目さんを中心に、政策的にホットな話題や女性議員ならではの活動にフォーカスしたテーマで勉強会や交流会を開催しています。
参加するのは首都圏の女性議員が中心。「全国から参加できる仕組みや体制ができれば」と、最近では、オンライン会議システムのzoomを活用し遠地からも参加できる形での勉強会にもチャレンジするなど、テクノロジーを駆使した活動にも積極的に取り組んでいます。