【PublicLabセミナー報告】<緊急企画> コロナ禍 飲食店の声をきく

第1波、第2波、そして第3波―。
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、外出や外食を自粛すると、
それがそのまま、飲食店の経営に大きく響いてしまう。
そして1月8日に発出された、1都3県への緊急事態宣言。
飲食店に時短要請をする代わりに、1日6万円の協力金が支払われることにはなったものの、
まだまだあらゆる部分に課題が残る。
飲食店には今何が足りなくて、これからどう支援していけるのだろうか。

週1回ペースで実施されている“PublicLabセミナー”では、地方議員向けに、さまざまな社会課題に関する勉強会を開催しています。今回は【緊急企画】。第3波における“集中的な対策”として、政府から名指しされてしまった「飲食店」の声を直接伺い、自治体や住民ができる飲食店への支援について、次へ進むヒントを得られればと企画しました。そのセミナーの様子をお伝えします。(ファシリテーター:板橋区議会議員 南雲由子)

■セミナー開催日: 2021年1月10日

ゲストスピーカー① 齊藤星児さん 「ゴホウビダイナー」オーナー

ゴホウビダイナーは、世田谷区・祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩1分の、国産ハンバーガーを国産クラフトビールで美味しく食べていただくお店です。全国から野菜やお肉、ビールなど、生産者の想いが込められた逸品を直接仕入れ、そこに自分の想いも込めて、グルメバーガーを作っています。

去年春の緊急事態宣言下では前年の客数の半数以下になりました。店の前にパラソルを出して、テイクアウト品(作り置きのハンバーガー)や生産者さんの野菜を売り出しました。お客様は待っていても来ないので、道で直接お声がけしましたね。デリバリーサービスの会社はもちろん利用しましたし、自分でテイクアウトメニューのポスティングをして、自転車で配達することもありました。少しずつ販売のチャンネルを増やしていった感じで、2度目の緊急事態宣言が出された現在は20時以降、テイクアウトとデリバリーと、店の外での販売をしています。

国のGo To Eatキャンペーン事業については、半月くらい遅れて参加して、突然予算が切れるまで、お客様はだいぶ増えましたね。平日土日関わらず、たくさんのご予約がありました。客層としては、新規の方が多かったと思います。来店のきっかけ作りにはなりましたね。キャンペーン期間中にリピートしてくれた人もいましたが、キャンペーンが終わったらどなたもいらっしゃらないというのが実際のところ。祖師ヶ谷大蔵は、高齢の方が多く住んでいるのですが、ネットを使わないと予約できないし、不公平といいますか、高齢の方たちに説明しづらかったですね。仕組み自体が、タダで飲食できる仕組みだったので、嗅覚が鋭い一部の方が得をされたのではないかという印象でした。国のキャンペーンと自治体の支援策で、レジの処理の仕方などが異なるので、その作業が難しくスタッフはストレスに感じていました。支援策はわかりやすく一本化してほしかったです。

このコロナ禍、とにかく飲食店はみんな大変です。でも、この地域で、コンビニの弁当やスーパーの総菜以外の選択肢を作ってあげたい、温かい食べ物を提供したい。そんな強い想いを持って、這いつくばってがんばっています。

ゲストスピーカー② 高橋ケンジさん 「恵比寿新聞」編集長

地域応援型プロジェクトメディア「恵比寿新聞」(WEBマガジン)を立ち上げてから、10年ほどが経ちました。恵比寿には1500店舗くらいの飲食店があり、これまで多数取材してきました。私は飲食店を経営しているわけではないのですが、たくさんの飲食店の方の声を身近に聴いていますので、コロナ禍による苦境の中、彼らの役に立ちたいと考えて活動を続けています。

3.11の時を思い出していただけると、あの時も飲食店さんに大打撃でした。自粛ムードがあり、あんまり飲んじゃいけないよねという雰囲気のある時期でした。被災地を取材していた友人のアナウンサーが、「困っている方がいたら、誰でも連絡ください」とLINEアカウントを開放していたんですね。それを思い出して、今回、僕も微力であっても、飲食店さんが宣伝したいことを宣伝できる場として、3月11日に恵比寿新聞のアカウントを開放しました。

そうすると、「お客さんが来なくてどうしよう」といった内容のお問い合わせが、1日20~40件ほど来たんですね。恵比寿という街は、昼間の人口が14万人、住民も2万人住んでいます。しかし、去年の春、テレワークする人が増え、お客さんがほとんど来ない状況になったんです。そこで、各店舗のテイクアウト・デリバリー情報など、SNSで情報発信を始めました。1件1件発信していくなかで、「この情報ってどこかにまとまっている必要があるんじゃないの?」と思い、Googleマップ上で恵比寿のテイクアウト・デリバリー情報が分かるようにしました。

その後4月中旬くらいに、「マネしていいですか?」と地域活動している人たちから連絡があり、そこから渋谷区内の各地域の方がつながって、5月4日に情報のまとめサイトとして、「渋谷区テイクアウト・デリバリーMAP」をオープン。ビジネスマン対象の飲食店は閑古鳥が鳴いていた中、このサイトには1日7万件くらいのアクセスがありました。ちなみに、このMAPには「50%オフクーポン」みたいなものをあえて付けず、お店の魅力をそのまま発信したことで、リピートにつながったと考えています。市民団体や地域活動していた人たちにうまく横串を刺せたのではないでしょうか。

 

そして今回第3波で、飲食店の方々はまた頭を悩ませています。1日6万円、最大180万円の協力金が出ることにはなりましたが、1人オーナーの小さな店舗は助かっても、いくつも店舗を抱えるオーナーにとっては、規模が合わないのは悩ましいですよね。また、お店も支えたいですが、卸業者さんとか、1次産業の方もどうにか支えたいという気持ちもあります。地域メディアは情報発信で飲食店を支えることができると思うので、地域の情報発信のハブになれたらと考えています。

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