中島さん自身が、官と民と両方を知っているからこそ「これは官だな」とか「これは民だな」とか、あるいは「両方だなと」判断できる部分がありますか
はい。両方知っていることはかなりの強みだと思っています。例えば、行政のことを知らないと普通に生活をする中で、「なんで行政はこんなにスピードが遅いのだろう」とか、「やり方が古いな」などど感じる事があると思います。
ただ、行政の方々の背景を知ると役人さんもできない理由があって。その理由を理解した上で、できる解決策を提示することが大切だと考えるようになりました。行政のおかしな所は沢山あり、おかしいことをただ指摘するだけではなく、出来ない理由も理解しながらできる方法を提言することが、とても大切だと感じています。
こちらは、まさにPublic dots & Company(PdC)さんが取り組まれていることかもしれないですね。
ありがとうございます。民間企業出身の議員さんって官と民、両方のスキルと経験がある。今後ビジネスの価値観が変わっていく中で求められていく希少な人材になっていくのだろうと思っています。
希少な人材になれたら嬉しいですね。(笑)
私は政治家という職業にあまり固執をしていません。課題解決の手段の1つとして足立区の未来の子どもたちのために、政治家をさせていただいています。地方議員って何をしているかよくわからないと感じる人もいるかも知れませんが、社会構造が大きく変わる現代において、官も民も知っている地方議員がバリューを発揮するように出来たら面白いなと思いますね。
社会課題は官だけで解決できなくなってきているので、PdCでは民の方にもパブリックが目指している社会だとか社会との関わり方といったマインドをインストールしつつ、官と民が一緒に課題解決していきましょうねという提案をしています。その中で重要な役割を担うのが地方議員だと思っています。地域にどんな課題があって、どんな人や団体が居るかを知っているのは地方議員だからです。
政治家と何か一緒にプロジェクトを行うってなんか漠然と悪いイメージがありますよね(笑)
政治とお金みたいな。でも本来課題を解決するために政治があると思っているのでプロジェクトベースで社会を、地域をよくしようとする地方議員が増えたら、もっと社会はよくなるのではないかと思っています。選挙での落選リスクを考えたら、地方議員は4年間の契約社員ではありますが、逆を言えば4年間は生活を保障してもらいながら、地域にとって良い事を集中していくらでもできるわけで。とてもやりがいがありますね。
中島さんはどうして議員になったのですか
リクルートに在籍中、妻と小池知事の政治塾に通ったことが始まりです。リクルートで働く中で
お客様の課題解決の難易度が、勤務年数があがるにつれ少しずつ高くなっていることに気づきました。最初はお客様の担当者や上席の方の課題、途中から役員や社長、会社の課題、そしてその会社が所属している業界の課題など。視座を変えて仕事をするとどんどん面白くなり、お客様に価値を返せる機会が増え、感謝をしていただける機会も増えるようになりました。
ある業界の中の課題を考えていた際に、政治がとても紐づくことがあり。そこから興味を持ち政治塾に通いました。
結果、妻が先に都議会議員として当選をさせていただきました。その後、妻の政治活動をサポートする中で、町会・自治会の高齢化の問題や、様々な社会構造の限界などを直接肌で感じる中で、自分自身が足立区の中で解決をしたいと考え政治の世界に挑戦することにしました。
いま手掛けている主要なテーマは何ですか
「新しい地域コミュニティの創出」「20年後の未来を考えた子育て施策」を中心としています。
昔から子育て願望が強かったタイプではなく、どちらかというと、家庭より仕事を優先し、バリバリ働きたいと考えていたほうです。それが妻の出産を機に仕事を週3日勤務のサラリーマンに制限して、子育てと妻の政治活動のサポートを行いまして、その中で家事・育児の大変さを当事者として痛感し、社会全体で声高に言われている「女性活躍」という言葉に違和感を覚えました。ただでさえ、家事・育児で頑張っているお母さんに、社会でも活躍して欲しいと考えるのであれば構造を変えないといけない。本当の意味での女性活躍を考えるのであれば、男性が女性と同じように家事育児の負担を増やし、女性が社会進出を促進するための素地を作るべきだと考えています。
ご夫婦で議員をされていて、家庭の中で政治の話をしたりするのでしょうか
はい。かなり多くします。2人とも政治家になる前から同じ会社で働き、仕事をすることが好きだったので、家庭でも仕事の話が大部分を占めていました。結婚する前からです。
また、家庭を一つのチームとも考えており、家事・育児も平等に分担していますし、政治家としての活動も私は足立区の区議会議員として、妻は足立区選出の東京都議会議員としてそれぞれの役割の中で一緒に連携・議論しながら進めています。食器を洗いながら東京都の政策の方向性の話をしたり、洗濯ものをたたみながら足立区の待機児童の話をしたりと、足立区で一番行政の事や、未来の足立区のことを議論している夫婦ではないでしょうか。(笑)
今の話を記事にしたら皆に「うらやましい!!!」と言われそうです(笑)
ほぼ家庭と仕事のオン・オフの切り替えが無いので、この生活が良いのか分かりませんが、自分達で仕事も子育ても両立させながら政治家として価値を発揮するために、今の形に調整してきました。前職のリクルートでは、本当に優秀な方でも、働きながら子育てと仕事のバランスを取りつつも組織からも評価をされる方は少ない印象がありました。
仕事も子育ても我慢しないでどちらも両立できる仕組みを創るためにも、まずは、私たち夫婦は私たちのやり方でそれを解決しようと。その中で新しいやり方を導き出し、体現していきたいと思っています。
中島さんのような今までにない価値観とかライフスタイル、ワークスタイルをもっている人たちが、どんどん政治の世界に入っていろんな人と繋がって発信していくことが大事なんじゃないかと思いました。これからの活躍、期待しています!
ありがとうございます。
【プロフィール】
中島晃一郎(なかじま・こういちろう)
1988年生まれ。大学職員として働きながら東京理科大学夜間学部を卒業。
新卒で楽天株式会社に就職。ネット広告の営業に従事し新人賞などを受賞
その後、株式会社リクルートキャリアに転職し、地方の中小企業から日本を代表する大手企業など500社以上の新卒採用の人材・組織コンサルティングとして従事。各種MVPを受賞。
2019年足立区議会議員選挙に立候補し初当選「あだちの街と人をつなぐ」をテーマに活動中。子育て団体の代表。2歳児の子育て中。