まさに問題解決のために出来る方法を考え、手法や組織を変化させたのですね。こうした組織や人材プロジェクトのマネジメントのスキルの経験は会社員時代に獲得されたのでしょうか

 

リクルート時代に、日本を代表する大手企業から地方の中小企業まで500社以上の人・組織の事業課題解決に奔走する中で、身に付いた経験が大きいと思います。

 

進め方や勘所の抑え方が、ビジネスマンが手掛けたプロジェクトだな、という印象があります

 

はい。私は自分自身が政治家というより地域の課題解決を地域の皆さんと一緒にやっているという感覚です。そういう意味では、政治家という概念も変わるべきなのかな・・・

 

ところで、こうした地域の人たちの関係は議員になってから築いたものですか

 

議員になって、様々な活動をしている方に直接連絡を取り、お会いさせていただきました。多くの方と会っているから、この課題はこの人だったらご協力してもらえるかもしれないとか、この人ならこんな解決方法を知っているかもしれないという蓄積があります。

地域の中で「誰がどんな活動をしていて、魅力的なポイントはここだ」という事を知っていることが、地方議員の強みだと私は思っています。様々なテーマで活動をしているNPO団体・企業等、同じテーマであれば活動を知っていることはありますが、まったくの異業種や異なるテーマでの活動はなかなか知ることが出来ません。縦や横の繋がりを越えて、そこを繋げることができるのが地方議員の魅力の一つだと思っています。

 

前回の足立区議選は昨年2019年の5月末でしたよね。中島さん、まだ区議になられて1年経っていない。2期、3期と経験されている議員さんなら、その人的ネットワークの蓄積はわかるのですが、1年経っていない中で、地域とそこまでの関係性を作って知見を得ているというのは、それまでの活動量が相当なものだったのではと推察できます。

 

区議に当選する前から、自身でNPO団体を立ち上げたり、都議会議員である妻の秘書としてサラリーマンをしながら地域で活動していたりしたことなどはプラスに働いていると感じます。

ただ、自分自身が議員になってから繋がった方々の方が圧倒的に多いです。日頃から意識をして素敵な活動している方やチャレンジしている方に連絡を積極的に取らせていただいています。フットワークの軽さは自分が大事にしていることです

 

しかし、スピード感と情報の量が1年目と思えないです・・

 

ありがとうございます。ただ、私は人に恵まれていると思っています。多くの人にお会いすることも大事ですが、素敵な活動や取組みをしている方々って、どこかで共通の知り合いや接点があって、一緒にプロジェクトを進めていくことで、そうした輪が自然に広がっている感覚があります。足立区で想いを持って活動をしている方々は本当に多いんです

 

そうして繋がった人たちそれぞれのレイヤーに横串を刺していくのが中島さんの役割ですね。

こうした活動の中で議員が地域に入っていくことの困難さを感じたことはありますか

 

今回のプロジェクトにおいては、特に感じなかったのですが、日頃の活動においては、強く感じる時があります。特に、昔から伝統がありやり方もルールも決まっている組織や団体。また変化をすることに消極的な方々と連携して何かを進める場合は一定の難しさを感じることが多いですね

 

出していらっしゃる空気感が、政治家だぞ!って感じが全然ないので、区民の方には伝わるんでしょうね。今の政治家像と中島さんの考える政治家像にギャップはありますか?

 

多くの政治家の方は政策をベースに、行政に提言し解決する。つまり議会の中での解決をする方が多い印象があります。私は政策を進め、行政から解決することも勿論大切だと思っています。しかし、行政の意思決定や行動は時間がかかる事が多いため、行政で全て解決しようとせず民間企業やNPOなどの団体と連携し、課題解決を図ることも大切だと考えています。よく、官と民という言葉で表されることが多いですが、官の動きを知り、民で課題解決ができる人がもっと増えていくことも大切な事ではないかと考えています。

 

コロナの件で、急にいろいろなことが起こりました。その対応のひとつとして「あだちっこ見守りプロジェクト」を手掛けられたと思いますが、非常時における地方議員の役割ってあると思いますか?

 

一般的には、陳情やご要望を聞くことや、行政の情報を分かりやすく発信をすることだと言われていますよね。この点に関しては、実際に活動されている地方議員の方も多いと思います。私も上記の活動は意識をして行っていますが、非常時にはそれに加えスピード感のある解決策を示すことが必要だと思っています。

 

例えば、新型コロナの影響で緊急事態宣言が発令され、地域の飲食店の方々の売り上げが厳しく困っている。これはおそらく全ての地方議員さんが地域の方からお話やご相談があると思います。対応ケースとして多いのは、助成金の紹介や行政にその声を届けることだと思います。

非常に大切な事ではありますが、聞いた声を形にし、実際に課題解決をするとなると数か月先のケースが多いと思います。非常事態下においては、それでは間に合いません。そこで飲食店については、緊急事態プロジェクトとして地域のWEBの企業さんと一緒に飲食店のテイクアウトマップを作り、少しでも売上げがのびる支援をしています。現在は足立区全域に広がり、約100

店舗の掲載まで広がりました。

 

【テイクアウトできる足立区の飲食店一覧】https://opti.jp/takeout_main/

 

地域の人たちと一緒に課題解決に取り組むことで、行政が進めることより大きなインパクトは残せなくても、圧倒的なスピード感をもって困っている課題に対し一定の効果を出すことはできる。こうした先行事例を参考に、行政も打ち手を検討していけば良いのではないでしょうか。

 

地域の人と一緒に課題解決を行う際、ご自身が議員であることが意味を持つと?

 

リクルートの営業時代、一番難しかったことはお客様に課題解決方法を提示することよりも、お客様自身が何に困っていて、なんの課題があるか教えて貰うことでした。またお客様自身も気づいていない事業や人材課題を見つけることがとても大変でした。政治家となった今は、多くの方から課題や困りごとを教えていただくことが多くなりました。できること、できない事はありまずが、前例に囚われず地域の方々と協力しながら、解決できる手法を編み出していくことに意味があると思っています。

 

議員だと色んな課題が集まってきますか

 

有難いことに本当に様々なご相談をいただきます。個人的な生活のことから事業のこと、業界のことなど。解決方法は官だけではなく、民の力で、という趣旨の話をしましたが、相談いただくテーマの中ではこれは逆に官の方が良いと感じる事もあります。

皆さん、ご相談をいただく際は何をどうしたら良いか分からない。行政のどこに相談したらいいか分からないから、とりあえず中島に相談してみよう!と相談されることも多いので、官か民か?の選択・差配とその整理、そして具体的な解決法の道筋を示すことは地方議員の役割の一つではないかと思っています。最初に民で道をつくり、官で事業に乗せることなども一つの方法だと思っています。

そういう意味で、今回の「あだちっ子見守りプロジェクト」では、後に足立区が休校中の一部の児童を対象に宅食をスタートさせることになりました。どこまで自分達の活動が足立区の行政を動かしたかは分かりませんが、実際に事業が行われた事実だけを考えると地域の皆さんの行動が行政を動かしたことになるのでは?と考えています。

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