今、政治に必要なのはスピード感~リクルート出身の政治家が手掛けた子供たちの見守りの場~

新型コロナウイルス感染症の影響が世界中に波及しております。日本でも緊急事態宣言が全国に拡大され、各自治体はその対応に追われています。小中学校は閉鎖され、飲食店やショッピングセンターなどが次々と休業や営業縮小し、すべての人が何らかの制約を受けている状況です。これはもう、大規模災害であるといっても過言ではないでしょう。

そんな非常時における地方議員の役割は何か? 小学校の臨時休校への緊急支援として立ち上がった「あだちっ子見守りプロジェクト」。その推進役である足立区議会議員の中島晃一郎さんにお話を聞きました。

(聞き手=PublicLab 編集長 小田理恵子)

 

中島さんが携わった「あだちっこ見守りプロジェクト」について教えてください。

 

政府の要請により3月から全国の小中学校と特別支援学校が臨時休校になりました。そうなると学童に通っていない子だったり、小学校1年生の小さいお子さんだったりの預け先が無くなって、一人親や共働きの家庭はとても困ってしまいます。その対応のため、地域の有志の方々と共に取り組んだのが「あだちっこ見守りプロジェクト」でして、主に休校期間中に子どもの居場所を無料で提供することを目的としています。

 

中島さんが中心となってプロジェクトをけん引していったとお聞きしていますが、実施までの経緯について教えてください。

 

地域の方々から子供たちのために何か出来ないかというご相談をいただきました。

こうした声を聴く中で、地域の皆さまと何か出来ることがないかと考え、私が発起人となりチームを立ち上げました。最初にコアとなるメンバーを中心に3チームを作りました。キッズパフォーマンス団体のリーダー・食育をテーマに活動している団体の代表・プログラミング教室の会社の社長と多種多様な方々です。この方々をリーダーとし、次に場所探しも行いました。様々な方にご相談をさせていただき、3箇所の拠点を確保することが出来ました。

お昼ご飯を提供するため子ども食堂との連携や、事業を進める上で必要な経費を集めるためのクラウドファンディングも行いました。

事業を進める上で必要な観点のヒト・モノ・カネを、様々な方にご相談しながら集めていった形です。実際に休校要請が出てから、23日くらいで、プロジェクトとして人も場所もお金も集まりスタートをすることが出来ました。

 

そう聞くと、まさに事業立ち上げのイメージです。前職はリクルート社ですよね

 

はい。リクルートでは採用や育成といった人にまつわる事業の組織課題に向き合ってきました。

 

しかし2、3日でここまで進めるとは。スピード感がすごいですね

 

今回のスピード感は本当にすごいんです。通常のやり方では30以上の団体、50人以上の人達が集まるチームだとプロジェクトの意思決定に時間がかかってしまいます。

そこで、組織やバックヤードが全く違う方々が集まっていることを逆に活かし、それぞれの強みや特徴を活かす様に適材適所で役割分担をしました。また各リーダーにも決裁権を持ってもらいながらも、最低限のプロジェクトで守るレギュレーションは統一することにしました。

コミュニケーションは全体の連絡網に加え、各チームに細分化し連絡がとれるようにしました。

チーム毎に必要な支援を確認しリアルタイムで必要な方法で集め支援を行っていました。多い時には、5秒に1LINEの着信のアラートが鳴り、深夜にも議論は続きました。プロジェクト期間中の1週間は、ほぼ寝れなかったです()

 

先ほどお話にあったクラウドファンディングはこちらですね。

https://camp-fire.jp/projects/241286/activities/122786

目標金額50万円に対し、支援総額は倍近くの90万円を超え、支援者数も何と264人!しかもページ公開から22時間で目標達成していますね。凄いです。何か工夫をされたことはあったのでしょうか

 

はい。クラウドファンディングも適材適所で、担当者の方をアサインし一緒に進めました。

ポイントは共感性の高さとスピード感、そして一番はチームの皆さんの想いをどのように伝えるかだったと思います。

 

プロジェクト実施にあたって苦労されたことはありましたか

 

今回は新型コロナウィルスという誰も経験をしたことがない状況の中で、お子さんの見守りの場を作るというニーズの提供と、リスク管理のバランスを取ることが一番難しかったです。

決まったルールや、やり方がないからこそ柔軟な発想で進められたことはありましたが、逆に意思決定は本当に難しかったです。だからこそ、プロジェクトを中心から進めるリーダーの皆さんとのコミュニケーションの量と頻度は意識して高め、プロジェクトチーム全体の納得感や、合意性を高めるように努めました。実際に子どもの見守りの場をスタートさせても、大小さまざまなトラブルや問題はありましたが、なんとか協力して乗り越えました。

ただ、見守りを初めて23日後に足立区内の児童で感染者が発生しました。メンバーの意見も分かれましたが、感染リスクが非常に高まったことを踏まえ、プロジェクトの方向性を変えることが余儀なくされました。場所を作って見守りをする手法が厳しいので、自宅にいるお子さんに無償でお弁当を届けながらアウトリーチでコミュニケーションを図り、見守りをするという形に方向転換しました。

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