【公園管理新時代】官と民に必要なマインドチェンジ~「エリア」で公園を管理できるのは誰か(上)

株式会社Public dots & Company PdC エバンジェリスト
SOWING WORKS 代表
元国土交通省 都市局 公園緑地・景観課長 町田誠
(聞き手)株式会社Public dots & Company代表取締役 伊藤大貴

2021/1/25  公園管理新時代―官と民に必要なマインドチェンジ(上)
2021/1/27  公園管理新時代―官と民に必要なマインドチェンジ(中)
2021/1/29  公園管理新時代―官と民に必要なマインドチェンジ(下)


公園管理は、今まさにターニングポイントを迎えている。2020年10月20日~11月5日の本連載「公民連携時代の指定管理者制度再考」では、公園管理における現状の課題分析や今後の提言について、元国土交通省都市局公園緑地・景観課長で、公園管理に30年以上携わっている〝公園のプロフェッショナル〟町田誠氏に寄稿いただいた。そこでは、小さな公園から大きな公園までを「エリア」で管理することが提言されたが、今回は実際にそれを誰がどうすれば実現できるか伺った。

公園を「エリア全体」で管理する

伊藤 横浜市では、初めてPark-PFI(公募設置管理制度)を活用して、昨年9月に「フォレストアドベンチャー・よこはま」、さらに今年2月には隣に「トレイルアドベンチャー・よこはま」もオープンしました。Park-PFIも少しずつ浸透してきているのでしょうか。

町田 そうですね。Park-PFIは、小さいものから大きなものまで幅があり、最近の事例では、名古屋市の久屋大通公園をデベロッパーが数十億円のプロジェクトとして再生するという、大規模なものもありました。この制度もかなり浸透してきているので、あとは私が提唱している「エリア」での指定管理を普及させたい。エリア指定管理は、比較的大きな公園でのPark-PFI導入等によって得た収益を、周囲の小さな公園の管理費に回すなど、エリア全体を〝パッケージ〟として、指定管理者にマネジメントしてもらうものです。

久屋大通公園
Park-PFIによる久屋大通公園の再生整備

 

伊藤 きょうは、制度としてできることは何か、腰の重い自治体の現場を動かすにはどうしたらいいかなど、具体的に伺えると幸いです。やる気あふれる自治体の職員や、民間企業で自治体と良い形でアライアンス(業務提携)を取りたい会社にとっては、非常に興味深い話になると思います。

町田 基本的にPark-PFIや指定管理者制度は、公園単体で運用していますが、東京都八王子市、西東京市などで、エリアでの指定管理がすでに始まっています。指定管理に慣れている事業者さんをはじめ、地元企業、投資家、コンサルタント業、NPO法人など、多くの方に興味を持ってもらえるような仕組みを提案していければと思っています。

自治体に必要なマインドチェンジ

伊藤 完全にマーケットのロジックに任せると、何の特長もない公園は打ち捨てられると思うんです。でも自治体が絡むことで、収益の出る公園と出ない公園を「面で管理する」「面で価値を出す」という発想を持つことは、まさに公共の再定義です。「ビジネスベースでやってください」と提案できるのは、自治体職員なのではないでしょうか。

町田 新しい試みが動く自治体の構図としては、課長と係長と担当者のやる気が揃えば、上を突破できますね。部長級であれば1人でも通していけます。副市長→市長へと話が上がって実現させるにはどちらかのパターンが必要です。ただ、残念なことに、多くの場合、改革志向の職員は孤立して、部長級になると公務員としてのキャリアも終わりなので「自分のうちは、面倒なことをやらないでくれ」という気持ちが見えてしまいます。

伊藤 なるほど。突破は至難ですね。

町田 使われていない小さい公園もエリアの価値を上げる資源になるという感覚が必要です。そして、施設管理者として一歩踏み込んだまちづくりに寄与する信念を持って、慣習にとらわれない取り組みをすることが必要です。使われない小さな公園は放っておけば不良資産。そうさせないための覚悟を持てる人が揃うか否か。マインドチェンジができている職員と、公のマインドのある事業者さんが組めると、一気に物事が動いていきます。公共施設を管理する部局の公務員は、特定の民間の人たちと口を利くことが「罪」、公共空間でお金を稼ぐことが「不適切」と思う傾向があるので、このマインドチェンジが必要です。

伊藤 この現状って、公園だけではなく、すべての政策分野で同じことが言えますよね。

町田 行政職員にとって、議員さんは恐れる存在だと思いますが、議員さんが果たすべき役割もすごく大きいと思います。市民全体の代表であると同時に、支援者の代弁者という立場もあるでしょうが、「今、どちらの顔で仕事すべきか」を常に考えてもらいたいです。

「中」につづく


【プロフィール】
町田 誠(まちだ・まこと)町田誠氏プロフィール写真

1982年旧建設省。旧国土庁、国土交通省等勤務の他、国際園芸・造園博覧会ジャパンフローラ2000、2005年日本国際博覧会(愛知万博)、全国都市緑化フェアTOKYO GREEN 2012において、会場整備、大型コンテンツのプロモート等に従事。さいたま市技監、東京都建設局公園緑地部長、国土交通省都市局公園緑地・景観課緑地環境室長、公園緑地・景観課長などを歴任。

 

伊藤大貴(いとう・ひろたか)伊藤大貴プロフィール写真
株式会社Public dots & Company代表取締役
元横浜市議会議員(3期10年)などを経て、2019年5月から現職。財政、park-PFIをはじめとした公共アセットの有効活用、創造都市戦略などに精通するほか、北欧を中心に企業と行政、市民の対話の場のデザインにも取り組んできた。著書に「日本の未来2019-2028 都市再生/地方創生編」(2019年、日経BP社)など多数。博報堂新規事業(スマートシティ)開発フェロー、フェリス女学院大非常勤講師なども務める。

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