困っている人の助けになって、地場産業も知ってもらえて、区民の誰も傷つかない。「ありがとう!」と言えるプロジェクトですね。美しい~!

そんな佐藤さんにお聞きしたいのですが、非常時における地方議員の役割って、何だと思いますか?

 

2つあると思っています。一つは普段からやっていることですが「相談」ですね。相談対応は平時から力を入れている方ですが、今は特に力を入れていて一日の業務時間のほとんどが相談対応です。非常時、議員は区民の声を吸い上げるのが最も大事なんじゃないのかなと思います。

そうして声を吸い上げて、行政の施策について問題や課題があれば改善していくし、ゼロから提案もする。行政の大きな枠組みの中での日々日々の判断によっては、ひずみが出てくる人が居るわけです。それを広くオープンで聴いて、自分でできることは自分でやって、できないことは行政に提案することです。

区民の声を行政へ伝えるのに、区民が行政へ直接訴える場合と、佐藤さんという議員を通す場合で、どんなことが違ってくるのでしょうか?

 

役所に電話して回答できることを議員が受けてもしょうがないと思っています。便宜上やることもありますけど。

議員が何をやるのかというのは、独自に調べて、こういう例があるとか、区の計画だと今後こうなるだろうということを伝えたりとかですかね。役所が言えないことってあるじゃないですか。「決まっていません」を市民は聞きたいわけじゃない。今回のコロナに関していえば、新型インフルエンザ特措法というのがあって、区にインフルエンザ対応のBCP(墨田区事業継続計画<新型インフルエンザ編>)がある。ですので、一応、それが想定となる。これは公開情報ですが、私が今回のことにそのまま適用されるわけではないという前提ですが、わかりやすく解説する。これで安心される方もいました。

私のところには保育園の問い合わせが多く寄せられるのですが、まったく見通しの立たない状況で、自分がどうなるのか分からないという方が多かったです。その際「保育園は最悪の事態こうなりますよ、したがってこういう用意が必要ですね」という予測を提示します。BCPによると区内5園だけ開いて集中保育をすることになっています。今そうなっているわけではないが、計画にはそう盛り込まれている。そういうことを自分で調べて、想定のひとつとして伝えます。

役所とは異なった独自の視点で区民が欲しい情報を伝えることが大事なのではないかと思います。

 

確かに、役所が言えないこと、役所だから届かないことってありますね。区民と行政の間に立って欲しい情報をかみ砕いて伝えることは、議員としてとても価値のあることだと思います。

しかし一方で、議員さんには色んな人が居ますよね。各議員がそれぞれの立場で個人で発信していくと、情報の出し方や、情報の齟齬があったり難しい部分があると思うのですが、そのあたりはどうお考えですか? 

 

墨田区議会議員32人がまとまって見解を出していくのがベストだと思います。しかし、議会は合意形成に時間がかかるのも事実です。ですので当面は、個人の行動としてやれることをまずはやっているのが現状です。個人として、区の公式発表などの情報源を示して、見解を出しています。

例えば、区の情報や、都知事の見解、日本小児科学会の見解などを紐解くと、家にいる子どもが健康維持のために公園で遊んでも良いと分かります。公園で遊んでよいかどうか分からない、視線が気になるという保護者の不安も多く寄せられました。そこで「皆さん遊んでても注意しないでくださいね」とコメントとして書いたりします。

なるほど。ところで、今SNSなどでたくさん発信している議員さんたちに、相談が殺到しているように見受けられます。その結果矢面に立つケースも多いですよね? 縋りついてくる人たちもいますし「良い人」たちばかりではないですよね。発信すればするほどボコボコに叩かれません?

 

土日はボコボコに叩かれました(笑)。発信すればするほど、アンチテーゼが・・・もちろん、それも大切な民意のひとつなのですが、とげのある発言も多く、精神的にはそうとうやられました。

 

10年経ってもそこは慣れないですか?

 

慣れないですね~。慣れたら一皮むけるんでしょうけど。

 

政治家って鉄でできていると思っている人も多いかもしれませんが、鉄だから叩いても問題ないみたいな。でも本当はただの人じゃないですか。だから叩かれるとしんどいですよね。でも本当に鉄になっちゃうとダメなのかなと思いますね。

 

そうそう。自分の政治家としての魅力がなくなっちゃうかもしれないですね。だからへこみました~ていうのも書くんです(笑)。

 

自然体なんですね。それぞれの活動をロジカルに考えて戦略的に手掛けていらっしゃるんでしょうが、佐藤さんからは、そういう感じを受けないんですよね。真心を感じるというか、市民に対する目線が暖かい。

SNSでも積極的に発信されていらっしゃるなかで、通常叩かれると防御反応示すとおもうのですが、それが全然ない。そういう時ってどういう気持ちでいらっしゃるのですか?

 

そう感じてくださったのはとても嬉しいです。気にしてますよ(笑)、腹立つこともありますよ。

でも僕の政治活動の姿勢として「話せばわかる」と思っているんです。どんなにアンチテーゼの人でも、話し合っていれば時間がかかってもわかる、と平時はそうやっています。

しかしこういう時間の中でそれをやってみましたが、なかなか・・・心が消耗しますね。

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