非常時下での議員の役割とは?~町工場と議員がタッグを組んだ墨田区マスクプロジェクト~

新型コロナウイルス感染症の影響が世界中に波及しております。日本でも緊急事態宣言が全国に拡大され、各自治体はその対応に追われています。小中学校は閉鎖され、飲食店やショッピングセンターなどが次々と休業や営業縮小し、すべての人が何らかの制約を受けている状況です。これはもう、大規模災害であるといっても過言ではないでしょう。

そんな非常時における地方議員の役割は何か?入手困難となったマスクの地場生産と流通を始めた「墨田区マスクプロジェクト」。この旗振り役である墨田区議会議員の佐藤篤さんにお話を聞きました。

(聞き手=PublicLab 編集長 小田理恵子)

 

新型コロナの影響で社会が混乱しています。区民からの相談が増えているのではないですか?

 

増えていますね。激増しています。支援者以外からの相談も増えています。非常時にはTwitterを動かすようにしていますが、そちらからの相談も多いですね。今は相談対応だけで一日が終わってしまう状況です。

 

夜中にコロナに関する支援制度を調べたり資料にまとめて公開したりしてますよね。いつ寝てるのかしら? 体力的に大丈夫かしら? と思って活動を拝見していたのですが、とうとうTwitterで区民から続々と『#佐藤寝ろ』タグでリプライされてましたね。

 

ありがたいことです。あ、これって寝ちゃいけないのかな?・・・頑張ります!

 

いや、寝てください!!

SNSで佐藤さんの活動拝見しておりますと、それこそ寝る間を惜しんで真摯に区民に寄り添っていらっしゃるのが良くわかります。

そんな中で、佐藤さん「墨田区マスクプロジェクト」を始動されましたよね。墨田区内のメリヤス工場とタッグを組んで布製マスクを生産して区内で流通させるという取り組みですけれど、これを始められた経緯について教えてもらえますか。

 

区民からマスクが足りないって言われて「何とかしなきゃいけない」と思ったのです。一般配布用の予算なども確保できるかどうかわからないし、役所を通してたら一般競争入札で1ヶ月とかかかってしまう。需要に生産が追い付いていないから応札すらないかもしれませんし。で、すぐに役所ができることって少ないんだろうな、と。

区内にはメリヤス工場がいくつかあるのですが、ある事業者から『衣料の売り上げ下がっていて困っている。でもうちマスクも作れるんですよ』と言われました。

この話が持ち上がったのは政府がマスクを配ると発表する前ですが、メリヤス工場で衣料の代わりにマスクを作って、それで区民が買えるようにすれば役所を通すより早いし、地場のドラッグストアで流通待つより早いんだろうなと思いました。

それで思い立って動いてみたら、『私はこれができます』みたいな人が続々と出てきて、形になりました。

Twitterでこんなのできないかな? とつぶやいていらっしゃったのが確か3月27日とかですよね。そこから2週間と経たずでプロジェクト始動ですから、早かったですよね。

 

早かったですねー。

私はメリヤス業者さんと直接的な接点はなかったのです。マスク作れるところがあるらしいよ、と会派で聞いて、これとこれをくっつければいいや! と事業者さんと関係のある仲間の議員に話を持っていきました。そして、同じ会派の1期生、2期生の3名を巻き込んで議員4人でやることにしました。

 

マスクの生産は確保しましたが、それを区内に流通させるため取り組みはどんな感じですか?

 

100枚単位での生産になるので、ある程度まとまった枚数で発注する必要があります。1枚550円なので最低5万5千円かかります。この在庫リスクを持ってもらうことになりますからそれなりにハードルは高いです。

そんな中、始めてすぐに、ある町内会が400枚買ってくださいました。防災備蓄予算を使って発注し、町会内の世帯に配布するそうです。さらに別の町会からも300枚。また、SNSを見た区民の中から自分が買って小売りに繋げていきますよ、という方が何人か出てきました。今後は広く小売りにもつなげていけるかと思います。

 

100枚買ってマスクが足りていない施設などに配っても良いわけですから、そういう方も出てきそうですね。

 

はい。WEBのニュースが出てから区民から様々な反応をいただいています。ありがたいことです。メリヤスって地場産業だったんだ! 知らなかった! という方もいて、地場産業を知ってもらえたことも嬉しいです。さっそく買ってくださった方が、Twitterに感想を上げてくれたりして、区民が地場産品に触れ合っている光景をみて、感慨深く思いました。

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