次々に生まれる斬新な授業には、先生方の本気と希望が詰まっている
たぞえ 最近は具体的にどんなプロジェクトに取り組まれたのですか?今は年度の真ん中なので、途中のものが多いかもしれませんが、すでに発表したものがあれば教えてください。
尾崎さん 一つ事例を挙げますと、生駒南第二小学校で実施した、地域の「デジタル図鑑」をつくるプロジェクトですね。タブレット端末を活用し、小学生がデータクリエーターになって地域情報のデジタル化を進めるプロジェクトです。タブレットに入力すると、「デジタル図鑑さん」というロボット型のキャラクターが覚えてくれるという仕掛けで、子どもたちは楽しみながら取り組むことができたと思います。
本目 私も受けてみたいくらい楽しそうな企画です!新型コロナの影響で、広島への修学旅行が中止となり、企画された「オンライン修学旅行」(あすか野小学校)も素晴らしい取り組みですね。何より子どもたちがとっても嬉しそうな表情!尾崎さんも、担当の先生方も、準備が相当大変だったのではないでしょうか?
尾崎さん そうですね。担当してくださった先生方は、半年間一緒に全力で走ってくれました。誰もしてないことを一番初めにするって、当然時間がすごくかかるんです。何もないところから一つずつ作る必要があるので。オンライン修学旅行の平和教育は、先生方の本気と希望が詰まっていたように思います。校長先生が応援してくれて、6年生の担任の先生もモチベーションが高かったんです。校長先生・学年の先生、地域の方々、そして児童たち。全員が本気でジョインしてくださるという、奇跡のチームでした。
たぞえ 奇跡のチーム!素晴らしいです。他に今仕掛けていることとかあれば、今後の展開も含めて伺いたいです。
尾崎さん SDGs、防災、インターンシップなど、色んなテーマで10個くらいプロジェクトを進めています。校長先生も現場の先生も4月に異動する可能性があるので、今できることを1年間で収めきらないと、教育現場って実例が作りづらいんですね。「一緒にやりたい!」と手を挙げてくれている先生のところで、とにかく「今年度中にできることは全部やりきる!」と意気込んでいます。私も1年ごとの契約なので、悔いの残らないように物凄いスピードで動います。乞うご期待です!
たぞえ それは楽しみです!子どもたちが尾崎さんと一緒に経験すると、先生という職業にも興味をもって、そういう子たちが先生になったら、また素晴らしい教育が生まれる。そういう良い循環になるのかなと思います!
尾崎さん ある先生からこんなメールをもらいました。「今までであれば、日本をひっくり返す取り組みなんて無理ですよ、と言っていたと思いますが、尾崎さんとならできるかもしれない、と感じてしまいます。僕自身はそこまで力はありませんが、尾崎さんとお会いして、これまでの考え方がすごく変わってきたように思います。自分自身ももっと成長したいし、いろいろなことにチャレンジしたいのでお力を貸してください」と。結局私ができることって、先生に外の世界とつながる方法を伝えていくことなのかなって思っています。型を作って広げていくことでインフラにしていきたいという気持ちはありますが、パッケージ化した瞬間に面白くなくなるんですよね。なぜならそこにはその先生の熱がないから。教育改革は私がしているんじゃなくて、先生の熱が8割なんですよ。熱がないところに、オンライン修学旅行をやりましょうと決めても、その旅行はとてもつまらないものになってしまいます。だからこそ、私ができることは、少しでも「やりたい!」と言ってくれる先生と一緒に新しい事例を作って、その先生が次の先生たちを巻き込んでほしいと思います。パッケージ化や横展開ももちろん大切ですが「圧倒的な事例は世界を変える」と思っているので、先生と一緒にとにかく面白い事例を作っていくのが、今の私のミッションだと思っています!
【プロフィール】
尾崎 えり子(おざき・えりこ)
奈良県生駒市教育指導課教育改革担当
千葉県流山市ICT教育推進顧問
ICT授業作家
株式会社新閃力代表取締役社長
1983年香川県生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、経営コンサルティング会社に入社。2010年、スポーツビジネス会社に転職。2013年、企業内起業という形で子会社(幼児向けのスポーツ通信教材の開発)の設立に参画し、その後代表取締役に就任。第2子の育休を経て退職し、2014年に株式会社新閃力を立ち上げる。千葉県流山市でプロデュースした民間学童「ナナカラ」は好評を博し、6店舗に拡大。2016年にはシェアサテライトオフィス「Trist」を開設し、テレワーク推進賞やWork Story Awardなどを受賞。2020年から奈良県生駒市教育指導課教育改革担当。社長兼公務員として、子どもの教育をさまざまな側面から「面白くする」ことを目指す。太田プロダクションお笑い養成所13期卒業生(放送作家コース)。
本目さよ(ほんめ・さよ)
台東区議会議員/WOMANSHIFT代表
横浜市・八王子市育ち。大学・大学院で心理学を専攻。(株)エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートに入社し、人事部で働きやすい職場にするための各種制度を策定。「性別に関わらずやりたいことができる社会をつくる」ため、2011年に台東区議会議員選挙に立候補し初当選。現在3期目。気軽に政治に関われる「ママインターン」を展開中。
田添麻友(たぞえ・まゆ)
目黒区議会議員
東京都目黒区生まれ。大学卒業後、専門商社に2年勤務し、ベンチャー系経営コンサルティング会社に転職。3児の母となり、待機児童問題に直面。高校生のときから環境問題等を解決したいという想いもあり、2015年に地元・目黒区から無所属で立候補し初当選。現在2期目。