なるほど。議員になるきっかけであるその問題意識の源流はどこから発しているとお考えですか?

 

大学の卒業論文で調査した時に、ほぼ全ての男性が「男に生まれてきてよかった」と回答したのに対して、女性は半分しか「女に生まれてきてよかった」と回答しませんでした。その理由には「出産」や「育児」が関係していたんです。その後大学院に進んで「母親の育児ストレスと父親のサポートの関係」をテーマに論文を書きました。そうした問題意識は常に私の中にあったのは確かですね。

 

学部時代にそうした課題意識を持って取り組まれていたというのはさすがですね。ということはそれよりもっと以前に課題意識のきっかけになるような出来事があったのでしょうか。

 

高校生の時、制服がセーラー服だったんです。セーラー服って重ね着ができない構造なんですよ。よく「女性は体を冷やさないように」なんてことを一般的に言われると思うんですが、高校時代、冬の寒い中校庭で行われる朝礼でコートは脱がなくてはいけなかったんです。そうすると女子の着ているセーラー服の方が、男子の制服よりも薄着になるんですよ。だから女子生徒の方が寒いんです(笑)。「え、なんで?」って、理不尽な違いがあることに疑問を抱いたことを覚えています。そこが原点かもしれません。

 

本目さんがWOMAN SHIFT設立を構想したときに作成したマインドマップを記録した写真。手帳にそっと忍ばせているという。

 

何気ない日常の中から見つけた課題感に取り組んでいったというのは興味深いです。本目さんの着眼点は面白いですし、それを心に刻み、継続した活動につなげる粘り強さと芯の強さを感じます。本目さんって結構、研究肌なんですね()

さて、これまでの議会活動で得た手応えというのはいかがでしょうか。

 

私が理想とする社会像というのは見えているので、政策でどのように実現していくかですが、1期目というのはやはり政策を実現させていくには難しい面があるのは事実です。ただ、2期目に入ってみると、時代の流れもありますが、「あれもできた」「これもできた」と私自身が議会で求めてきた政策が形になっていることが増えてきたのを実感しています。

「私自身が議員としている意味があるんだな」と自分自身の存在意義を確かめることができて、やりがいになっています。

 

特にその成果として印象に残っている分野はありますか。

 

やはり「病児保育」でしょうか。病児保育に関しては他の特別区では導入されているのに台東区では未整備でした。初めて議会で質問した際には、行政側に「病気のときくらいは、保護者が看てあげていた方がいいという考え方もあります」という答弁をされてしまって…。それは確かにその通りなんですが、昨今の社会事情を鑑みれば、仕事と育児を両立させるうえで社会のニーズがすでにあるわけです。子供が病気にかかった時に自由に仕事を休める社会ならそれでいいんですが、実際はそうじゃない。一人親家庭をどう守るのかという問題とも関連していますし。

 

そこから、よく実現しましたね。議会を経験した立場としては、その行政答弁から短期間で実現までいくのは容易なことではないと理解しています。

 

時代の流れはあったと思います。そうした社会の変化を察知した職員が増えたのも実現を後押ししているのではないかと感じています。

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