2月上旬、渋谷スクランブルスクエア15階にある共創スペースSHIBUYAQWS。
東京北多摩エリアに隣接する東村山市、清瀬市、東久留米市の3つの自治体の市長が集結しました。
自治体の長は何のために渋谷に集結したのか? それは、企業向けに市の魅力や課題をプレゼンテーションする「市長ピッチ」に登壇するためでした。
市長ピッチとは、株式会社Public dots & Companyが主催する、新事業のシーズ探しや実証実験の場を求める企業を対象に、自治体のトップが登壇して官民連携事業のマッチングを行うイベントです。
首長自ら、行政が抱える課題や保有する資源を紹介し、企業と行政がそれぞれのシーズとニーズのマッチングを図り、新時代を創出する価値あるオープンイノベーションの実現を目指して開催されました。市長自らが企業の前で官民連携事業にむけてプレゼンテーションを行うのは今までにない取り組みです。
東村山市 渡邊尚市長
最初に登壇したのは東村山市の渡邊尚市長です。東村山市は官民連携を積極的に推進する自治体。リース方式による街路灯のLED化やジョブシェアセンター開設などの官民連携事例の紹介とともに、地域プラットフォーム連動型の民間事業者提案制度について紹介がありました。
これは昨年から始まった新制度で、民間企業から何でも提案を受け付け(テーマフリー)、採択した暁には随意契約を保証するという非常に画期的な制度です。
「市民、行政、民間事業者の三方良し」を目指していることのことです。
清瀬市 渋谷金太郎市長
次に登壇したのは清瀬市の渋谷金太郎市長です。清瀬の名前が示すような清流の地の自然環境の一例として、武蔵野の原風景たる雑木林やアユが遡上する柳瀬川、市役所産はちみつを紹介されました。また都内最大級のひまわり畑『清瀬ひまわりフェスティバル』アピールし、観光事業への意気込みを語りました。
東久留米市 並木克巳市長
東久留米市の並木克巳市長は、市の魅力として、都市と自然の調和を挙げ、育て世帯をはじめとした若い世代が住みたい、子どもを産み育てたいまちづくりを強調。今年の10月に市制施行50周年を迎えることから、関連事業の実施を含めメモリアルな年になると語りました。
イベントは申込開始後、すぐに満席に。キャンセル待ちも
今回このような形で官民マッチングイベントを開催した背景には、企業は「どの自治体にどんな課題や資源があるのかわからない」、市は「どの企業にどんなサービスや製品があるのかわからない」と、お互いを知る機会が少なく「官民連携事業へのニースはあっても、出会いがない」という状況がありました。
従来の自治体による公募形式は、企業からすればハードルが高く自治体からすれば良い企業が応募してくれる保証があるものではありません。
そこでまずは、企業が直接自治体のトップと接点を持つ機会を提供することで、具体的な課題の共有や、迅速な解決策の発見を促すことが可能になるのではと本イベントを企画しました。
企業に参加の募集をかけたところ、すぐに満席となり、その後もキャンセル待ちを希望する問い合わせが非常に多く、こうしたニーズは高いと確信しました。
イベント後には市と企業の交流会を開催しましたが、そこで活発に意見交換がなされ、また後日いくつかの連携話が持ち上がってきたことから、首長ピッチは、官民連携事業を成功に導くことができるひとつのカタチであると言えるでしょう。