市民と職員の「声」に徹底的に向き合う~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(2)~

大阪府箕面市長 原田亮
(聞き手)一般社団法人 官民共創未来コンソーシアム 代表理事 小田理恵子

 

2026/04/22 市民と職員の「声」に徹底的に向き合う~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(1)~

2026/04/23 市民と職員の「声」に徹底的に向き合う~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(2)~

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2026/04/30 住宅都市のブランド価値と次世代への責任~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(4)~

 

ボトムアップ型組織への移行

小田 市のトップが代わり、体制も変わったということで、職員の皆さんとのコミュニケーションが引き続き大切になってくるかと思います。そういったところは、日常的にどんなやり方で進めていらっしゃいますか?

原田市長 私が就任して最も変わったのは、トップダウン型からボトムアップ型の組織になったことです。

職員の皆さんの方が私より情報も知識もあります。ですから、自分で考えて実行した仕事で面白さを感じてもらいたい。「これをやりたい」「市民のためにはこの案が一番なんや」という熱い提案をしてくださいと伝えています。

私の権限を副市長に移譲したり、副市長から部長、部長から課長に移譲するというような形で徐々に裁量を広げています。

具体的なコミュニケーション方法でいうと、市長から全職員に直接メッセージを発出できるよう掲示板を作りました。私が全職員に伝えたいことを、そのままの熱量と情報の正確性を持って伝えるためです。

これは市役所によって、体制があるところとないところがあると思いますが、箕面市はなかったため確立しました。また、マニフェストを全職員に配布し、目指すべきまちづくりの方向性を共有しました。

原田市長マニフェスト集

就任初日にマニフェスト集を全社員に配布し、まちづくりの方向性を共有(出典:原田市長公式Webサイト)

 

それから、この時代にあえて誤解を恐れずに言うと、職員との飲み会でのコミュニケーションも大事にしています。もちろん任意参加です。幹部職員とは月に2回の会議を行っていますが、さらに個別でもコミュニケーションを行い、しっかりメッセージを伝えるようにしています。

飲み会だけでなく、ランチ会も時々開催しています。

それから私は、毎日SNSを更新しているんですよ。それを職員は結構見ているようで、私の思いや、これからやりたいことを知ってくれています。

「はっきり決まってもいないのに先に発言するのはやめてください」と怒られることもありますが。

 

小田 職員の皆さんとは、そういう会話ができる関係性になっているのですね。

原田市長 昨年末は、初めて「市役所飲み会」を開催したんですよ。10年目までの職員なら誰でも参加できるという立て付けで、70人ぐらい来ていただきましたね。2次会にも行きました。

 

小田 すごいですね。特に若手の人は、一般的には飲み会があまり好きではないという風潮がありますが、実際にふたを開けてみたらそうでもなかったということですよね。

原田市長 コロナ禍以降、自分の部署以外の職員と交流する機会がなかったようです。若手職員にとっては、やはり同世代の人たちと部署を越えて仲良くなるということは、結構望まれていたことではありましたね。だからとても喜ばれましたよ。市長と話すのはおまけみたいなものです。

 

小田 面白いですね。職員アンケートをはじめ、普段から庁内のいろんなところに細かい目配り、気配りをされているのですね。

 

市民からの評価で給与を増減する条例を制定

小田 アンケートといえば、原田市長が市民に向けて行った取り組みも非常にユニークです。2年に1度の市民アンケートの評価で、市長の給与が増減する条例を出しましたよね。

原田市長 市民の皆さんに市政に関心を持っていただきたいのと、責任を明確化するための条例です。「評価する」の回答が70%を超えたら最大10%増額、「評価しない」が50%を超えたら最大30%減額です。

 

小田 1回目の結果は肯定的評価が86.7%と、とても良かったとのことですが。

原田市長 過去3回の市民アンケートでの類似の設問の平均評価が65%でしたので、おそらく私への評価もそれくらいになると思っていたのですが、想定より高い数字を頂きました。

条例に基づき給与は10%増額させていただきましたが、退職金を全額カットする条例も制定し、トータルでの財政負担は増えないようにしています。

 

小田 適正な評価と報酬というのは、民間の感覚からすると当たり前だと思います。これに関しても一石を投じるお考えがあったのですか?

原田市長 もちろんその考えはあります。適正に評価されなければ、将来的に市長の担い手もいなくなりますから。

ただ、やはり市長になったからには、1期4年の間でも市民の皆さんから中間評価される機会が必要だと思います。しっかりと市民の皆さんの声を聴いて市政を進めているのか? 民意と市長の考えにズレが起きてはいないか? と確認する意味での市民アンケートです。

常に評価されているという意識を持つために今回実施させていただきました。ひとまずこの間の市政運営の方向性は間違っていなかったのだと、安心しています。

 

小田 就任初日の職員アンケートから始まった組織改革、民間から技術系副市長を公募する人事、トップダウンからボトムアップへの組織転換、そして市民評価と連動した給与制度。原田市長が1年半で取り組んできた改革は、いずれも「人財への投資」という哲学に貫かれています。その姿勢は、多くの職員から評価を得るという目に見えた成果につながりました。

 

後編では、箕面市が持つ価値をどう捉え、磨き、住宅都市としてのブランディングを進めているかを伺います。

 

(第3回に続く)

※本記事の出典:時事通信社「地方行政」2026年3月16日号

 


【プロフィール】

原田市長インタビュー_プロフィール写真

原田 亮(はらだ・りょう)

1986年生まれ。大阪大法学部法学科(政治専攻)卒業。
衆議院議員事務所勤務を経て、25歳で箕面市議会議員当選(当時全国最年少)。その後、大阪府議会議員を2期務める。

2024年8月、箕面市長に就任。

 

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