
大阪府箕面市長 原田亮
(聞き手)一般社団法人 官民共創未来コンソーシアム 代表理事 小田理恵子
2026/04/22 市民と職員の「声」に徹底的に向き合う~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(1)~
2026/04/23 市民と職員の「声」に徹底的に向き合う~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(2)~
2026/04/28 住宅都市のブランド価値と次世代への責任~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(3)~
2026/04/30 住宅都市のブランド価値と次世代への責任~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(4)~
西部地区の再ブランディングにも着手
小田 北大阪急行線の延伸で注目される中部地区ですが、古くからの玄関口である西部地区(阪急箕面駅・桜井駅周辺)の活性化にも力を入れていらっしゃるそうですね。
原田市長 箕面はもともと阪急電車と共に発展してきた街です。一昨年の北大阪急行線の延伸により、新大阪や梅田、難波まで1本でアクセスできるようになりましたが、昔からの玄関口である箕面駅周辺も市民の皆さんにとっては重要なエリアです。
27年度末のオープンに向け、建て替えが進む「(仮称)新みのおサンプラザ1号館」を子育て施設やカフェが入る集客交流施設として整備し、賑わいの核とする予定です。
また、箕面駅は「箕面大滝(日本の滝百選に選出されている景勝地)」の最寄り駅でもあります。駅前ロータリーのリニューアルや、滝に続く道路沿いの空き店舗の有効活用なども課題です。市民の皆さんが誇れる観光エリアにすることを目標に、再開発も進めていきます。
小田 原田市長のお話を伺っていると、人口増加自治体ならではのまちづくり像が見えてきます。
原田市長 おかげさまで人口は増え続けており、過去最高の14万人を突破しました。消防署や温水プールなど、新たなインフラ整備にも着手しています。このような街の市長をさせていただけるのは本当に嬉しいです。ありがたいと思っています。
次の世代に投資ができる政治を
小田 原田市長のルーツや政治哲学についても伺いたいです。市長は幼少期に正義のヒーローに憧れ、震災ボランティアを通じて子どもたちを笑顔にするという使命を見出されたと伺いました。市長として、その哲学はどう引き継がれているのでしょうか。
原田市長 私が政治の世界に足を踏み入れた理由は、少子高齢化と人口減少が昔から指摘されていたのにもかかわらず、なかなか改善されてこなかったことにあります。このままでは日本の人口が半減する危機的状況なのに、改善されない。
それはなぜかというと、増え続ける社会保障費に圧迫され、子育てや教育に投資がされない状況が変わらなかったからだと私は思っています。やはり政治家や投票者に占めるご高齢の方の割合が多く、そこにメスを入れることは難しかったのだろうと。
ならば、未熟で若い世代の私ですが、行動を起こせる立場になったのだから、これまでずっと強く思い続けていた子育てや教育への投資にいち早く着手しました。

市長のマニフェストには最初に子育て・教育政策が書かれている(出典:原田市長公式Webサイト)
次の世代に投資をするには、耳の痛いことを言う必要もあるでしょう。特に財政指標には目を光らせています。次の世代に負担を残さないよう、現役世代でしっかり責任を取るんだという強い思いです。これは議員時代から現職に至るまで一貫した哲学として自分の中にあります。
小田 ありがとうございます。では最後に、読者の方に向けて箕面市の魅力をお話しいただけますか?
原田市長 箕面市は25年の「住みここちランキング」「住み続けたい街ランキング」「子育てしやすい自治体ランキング」で大阪府1位を獲得させていただきました。豊かな緑に囲まれた街でありながら、西には阪急電車、東は大阪モノレールが走り、そして中部には北大阪急行が延伸し、梅田や難波へも電車1本で行けるというアクセスの良さが魅力です。
教育水準も全国トップレベルで、子育てしやすい街としてご評価をいただいています。子育て世代の方やこれから子育てをお考えの方にもぜひとも住んでいただきたい、箕面市を選んでいただきたいと思っています。
小田 大阪は大阪維新の会派の首長が多い中、原田市長は維新の会の現職を破って当選されました。住民の期待を一身に受けるとともに、プレッシャーも相当あるかと思います。今の所感はいかがでしょうか?
原田市長 無所属の市長である分、ある程度の自由さはあると思っています。むしろ維新の会派の議員さんとも仲良くさせていただいていますので、やりにくいと思ったことは全くないですね。結局は、いかに良い市政をするかです。
市長は政策が実現できる立場で、市民の皆さんに街が変わる様子を示すことができます。今の私の役割は箕面市のブランド価値を高めて、市民の皆さんにとってさらに住みやすい街にすることです。その目的をぶれさせずに今後も進んでいきたいと思います。
〈編集後記〉
4回にわたるインタビューを通じて見えてきたのは、原田市長の一貫性でした。前編で取り上げた組織改革も、後編で伺った住宅都市としてのブランディング戦略も、根底にあるのは「次世代への責任」という哲学です。
印象的だったのは、前市長から引き継いだ計画や制度を否定するのではなく、それらを土台として活用しながら、新たな価値を積み上げようとする姿勢です。職員との対話を重視し、ボトムアップ型組織へエンパワーメントする。街の魅力として芸術文化の要素を加えるため、自ら年間100冊の本を図書館で借りて読むと宣言する。
こうした具体的な行動の一つ一つに、トップとしての覚悟が表れていると感じました。人口増加という恵まれた環境の中で、どう次の世代に引き継ぐのか。原田市長のこれからの創意工夫にも注目です。
※本記事の出典:時事通信社「地方行政」2026年3月23日号
【プロフィール】

原田 亮(はらだ・りょう)
1986年生まれ。大阪大法学部法学科(政治専攻)卒業。
衆議院議員事務所勤務を経て、25歳で箕面市議会議員当選(当時全国最年少)。その後、大阪府議会議員を2期務める。
2024年8月、箕面市長に就任。

