官民共創に関する自治体意識調査2021(2)「熱意と推進力の差が生まれる要因」を読み解く

株式会社Public dots & Company
株式会社スカラ
一般社団法人官民共創未来コンソーシアム

 

2021/09/07  官民共創に関する自治体意識調査2021(1)「熱意と推進力の差が生まれる要因」を読み解く
2021/09/09  官民共創に関する自治体意識調査2021(2)「熱意と推進力の差が生まれる要因」を読み解く
2021/09/13  官民共創に関する自治体意識調査2021(3) 現実とのギャップを言語化し「解像度」を高める
2021/09/16  官民共創に関する自治体意識調査2021(4) 現実とのギャップを言語化し「解像度」を高める

現実と理想の間で悩む自治体職員

今後の官民連携/官民共創について回答者の約9割が「加速する」と答えた点は注目です。

「官民連携/共創の重要性は、今後社会全体でどのような認識になっていくと思いますか?」の質問に対して「重要性はとても高まる」と回答した人が全体の67%、「高まる」が21%、「変わらない」が10%、「重要性は下がる」が2%でした(図4)。

 

図4

 

 

また、「あなたの自治体の官民連携/共創の取組具合について」質問したところ、「熱心に取り組んでいる」が23%、「それなりに熱心に取り組んでいる」が34%、「どちらともいえない」が21%、「あまり熱心ではない」が13%、「まったく熱心ではない」が9%で、回答者の半数以上は「官民連携/共創に熱心に取り組んでいる」という結果になりました。

一方で、回答者の5人に1人は「(自分の自治体は)熱心ではない」と回答しています(図5)。

 

図5

 

 

こうした自治体の現在位置が大きく影響するのか、「あなたの自治体の官民連携/共創への取組は今後どうなると思いますか?」との問いに対し、「とても力を入れていく」が32%、「それなりに力を入れていく」が32%、「どちらでもない」が28%、「それほど力を入れない」が6%、「まったく力を入れない」が3%。自分の自治体の今後の取り組みについては、「今と大して変わらない」「力を入れることはなさそう」とした人が全体の約3割に達しました(図6)。

その背景には、必要性は理解しつつも、手が回らないことへの焦燥感が見え隠れしました。

代表的な声を紹介しますと、「民間が得られるメリットを設計できない」「補助金頼みの旧態依然としたものになってしまう」「職員にノウハウがない」「日常業務に忙殺されている」などです。

 

図6

 

町村は「アジャイル型」共創で注目

官民連携/共創の専門部署が「ある」と回答した50人の自治体属性と人口属性を見ます。

やはり、人口規模の大きな自治体の割合が多く、都道府県が18%、政令指定都市が24%、市が50%、町村が8%でした(図7)。

ただし、ここで注目したのが町村です。通常、官民連携/官民共創の専門部署を設置するのは、職員定数や予算規模などを考えれば、町村にとっては簡単ではありません。それでも、あえて専門組織を設置している町村があるというのは注目に値します。

民間企業目線でいえば、こういう自治体とタッグを組みたいと思います。なぜなら、組織が小さい分、小回りが利く/意思決定が速くできるという「アジャイル型」の特徴があるからです。

「小さな挑戦」を高速で回転させ、改善のスピードを上げていきたいと考える民間企業にとっては、官民連携/官民共創の専門部署を有する、小さな自治体はとても魅力的に見えます。

 

図7

 

 

一方、専門部署が「ない」と回答した48人の自治体属性と人口属性は、予算措置の難しい、規模の小さな自治体が多いという傾向が出ました。

こちらはある意味、自然な結果ですが、注目は都道府県や政令指定都市でも「専門部署を持たない」と回答した人が一定数いたことです(図8)。

官民連携/官民共創への取り組みが早かった自治体としては横浜市がよく知られています。近年は神戸市や福岡市、仙台市などもその動きを加速させている中、都道府県や政令指定都市クラスで、専門部署を設置していない自治体は今後の社会の大きなトレンドに後れを取る可能性がありそうです。

 

図8

 

 

次に官民連携/官民共創を推進していく上で、課題および解決策がどれくらい具体的になっているか、その「解像度」について質問しました。

「あなたの自治体の官民連携/共創への取組具合について教えてください」という質問に対して、「課題も解決も明確」との回答は全体の11%、「課題は明確だが、解決策が明確ではない」が40%、「課題も解決策も明確ではない」が41%、その他が9%という結果になりました(図9)。

この結果は、課題は明確になっている自治体が半数あるとみることもできますし、解決策が明確になっていない自治体が8割にも上っているとみることもできます。

 

図9

 

 

まさにこの課題解決のためのパートナーが民間企業になるわけですが、「民間企業/団体とつながるための手段をもっていますか?」に対しては、45%が「もっている」、18%が「もっていない」、34%が「どちらともいえない」でした(図10)。

公平性と透明性を担保しながら、民間企業とどのようにつながるか、自治体関係者が頭を悩ませている様子が浮き彫りになりました。

図10

 

 

株式会社Public dots & Company /株式会社スカラ/一般社団法人官民共創未来コンソーシアムが実施した、「官民共創に関する自治体意識調査2021〜熱意と推進力の差が生まれる要因とは〜」は下記のURLからアクセスすると、詳細資料をダウンロードできます。

 

https://gyaku-propo.com/download

 

第3回につづく

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