
大阪府箕面市長 原田亮
(聞き手)一般社団法人 官民共創未来コンソーシアム 代表理事 小田理恵子
2026/04/22 市民と職員の「声」に徹底的に向き合う~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(1)~
2026/04/23 市民と職員の「声」に徹底的に向き合う~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(2)~
2026/04/28 住宅都市のブランド価値と次世代への責任~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(3)~
2026/04/30 住宅都市のブランド価値と次世代への責任~原田亮・大阪府箕面市長インタビュー(4)~
大阪府箕面市長、原田亮氏のインタビュー(後編)をお届けします。
箕面市は2025年の「住みここちランキング」「住み続けたい街ランキング」大阪府1位(大東建託調べ)、「子育てしやすい自治体ランキング」大阪府1位(日経BP総合研究所調べ)となった自治体です。この評価の背景には、北大阪急行線延伸という大きなインフラ整備がありますが、それ以前から積み上げられてきた図書館行政や、教育施策の成果が花開いたとも言えます。
前市長から市政の土台を受け継いだ原田市長は、こうした街の強みをどう認識し、どう生かし、どんな展開につなげようとしているのでしょうか。政治家としての哲学とともに伺っていきます。(聞き手=一般社団法人官民共創未来コンソーシアム代表理事・小田理恵子)
文化・スポーツ・図書館行政を市長部局へ
小田 前回のインタビューでは、原田市長が就任直後から取り組んだ職員の処遇改善や技術系人材の確保、そして組織改革について伺いました。
また26年4月に箕面市として11年ぶりに実施する機構改革の中で最も大きなものは、教育委員会が所管していた文化・スポーツ・図書館に関する事務の市長部局への移管とのことですが、この狙いについてお聞かせください。
原田市長 これは住宅都市としてのブランディング戦略の一環です。箕面市は「緑あふれる 突き抜けるブランド力あるまちへ」の方針の下、最大の強みである「緑」を生かすための施策を打ってきました。25年の「住みここちランキング」で大阪府1位になり、私個人的には〝大阪の田園調布〟だと思っています。
山なみに抱かれ、都市にありながら自然と共生する緑あふれる景観が魅力の本市ですが、次は「アート」です。アートの要素を加えて、住宅都市としてのブランド力をさらに高めたいと考えています。
文化・スポーツ・図書館の事務を市長部局へ移管したのは、まちづくり施策や健康福祉施策と一体的に推進することで、より柔軟でスピード感のある展開を目指すためです。
文化やスポーツの管轄が教育委員会部局にあると、どうしても0歳から18歳までの施策になりがちです。それにも良いところはあるのですが、例えば高齢者の方がスポーツで健康寿命を延ばすことや、市民の皆さんが生涯学習を楽しめる環境をつくることはさらに意義があります。
小田 すでに具体的に動き始めた施策はありますか?
原田市長 市内の公共施設に市が所蔵する美術作品のほか、市民の皆さんが創作したアート作品を200点以上展示し、日常でアートに触れられる機会をつくりました。

箕面市船場阪大前駅2番出口通路に掲示された市民アート(出典:箕面市Webサイト)
また、市内にタワーマンションを建設した企業から寄付を受けた「企業版ふるさと納税」を活用して、大阪・関西万博で展示されたパブリックアートの設置も進めたいと考えています。
また、箕面駅・桜井駅・箕面船場阪大前駅の野外ステージをさらに活用するため市民等に無料で貸し出しています。街中から音楽が聞こえるようにしたいですね。このように、今後は文化活動をより身近に感じられる環境を整え、「緑と文化」を街の強みにしていきます。

ステージの無料貸し出しを募集するチラシ(出典:箕面市Webサイト)

箕面駅前野外ステージでの市民によるパフォーマンス(出典:箕面市文化国際室)
図書館貸出冊数全国1位への挑戦
小田 箕面市は人口14万人に対して七つの図書館があります。この充実したインフラを生かした図書館行政などについてもお聞かせください。
原田市長 箕面市は、図書館の個人貸出冊数が同規模の人口の自治体の中で全国2位なんです。また、本を通じた子育て支援の取り組みとして「ブックスタート(4カ月児健診の際に絵本の読み聞かせを行い、絵本をプレゼントする事業)」も実施しています。
今年は市民の皆さんの読書習慣をさらに活発にしようと、読書の楽しみに触れられるイベントや、貸出冊数全国1位に向けた取り組みをしたいと思っています。
もちろん市民の皆さんに訴えるからには、まずは私が率先して本を読もうと考えています。今年中に100冊読むことを目標に掲げ、SNSにも投稿しました。
小田 まずは市長ご自身が率先して図書館を利用されるのですね。ちなみに、最近読んだ本で面白いと思ったものはありますか?
原田市長 最近読んで面白かったのが、「『自分だけの答え』が見つかる 13歳からのアート思考」(著:末永幸歩)という本です。それから「100の思考実験」(著:ジュリアン・バジーニ、翻訳:向井和美)という本も。どちらにも共通するのが、いろいろな「ものの見方」を教えてくれる本だということです。
特に「100の思考実験」はトロッコ問題(多くの命を救うために少数の命を犠牲にすることは許されるか? という功利主義と義務論の衝突を扱う問い)のような問い掛けが100個用意されています。
自分はこうだと思っていたが、実はこういう考え方もあると、いろんな視点やそれぞれの正義があることを教えてくれる本です。とても面白かったですね。
小田 多様な視点を持つことを大切にされているんですね。読書自体はもともとお好きなのですか?
原田市長 学生時代は、毎年100冊は読んでいました。議員になって以降は、なかなかその冊数をクリアするのが難しいです。本の要約を解説するYouTube動画は見たりするのですが。今年から再チャレンジです。
(第4回に続く)
※本記事の出典:時事通信社「地方行政」2026年3月23日号
【プロフィール】

原田 亮(はらだ・りょう)
1986年生まれ。大阪大法学部法学科(政治専攻)卒業。
衆議院議員事務所勤務を経て、25歳で箕面市議会議員当選(当時全国最年少)。その後、大阪府議会議員を2期務める。
2024年8月、箕面市長に就任。

