●流行り言葉は踊らされずに、利用しよう

この図は、私がデジタル変革をする際に参加者に見ていただく一枚図です。私が自治体のデジタル変革で伝えたいことはこの一枚に凝縮されています。

おそらく、今自治体に関わる多くの人たちの頭の中は図左のようにテクノロジーに紐付いた言葉や概念が混在している状態だと思います。ここの言葉や概念への理解が不正確なまま、様々な言葉が生まれては消えていくので、テクノロジーと聞いただけで拒絶反応を起こすようになってしまいます。

AI、RPA、ブロックチェーン、MaaS、スマートシティ、スーパーシティ、Society 5.0、ビッグデータ、○○テック。。。

数え上げればキリがありません。しかし、私は個別の言葉や概念は覚える必要もないし、デジタル変革を進める上では枝葉のことであるので、一回全て忘れてくださいと伝えます。

そして、図右のミッション・ヴィジョンを実現するために必要なものがテクノロジーであり、このミッション・ヴィジョンをテクノロジー「も」つかって実現をしてくのを寄り添って支えていくのが最高デジタル責任者(CDO)であるという説明をします。

つまり、大切なことは「テクノロジー起点」ではなく「住民起点」で物事を考えることです。

ここで、はっと気づかれる職員の方が多いようです。今まで自分たちがやってきたことは間違ってないし、やるべきことは何も変わっていない、ただそれをより住民本位に実現する手段としてテクノロジーがあるだけなんだと。

私が自治体運営を見ていて気になることは、新しい言葉に踊らされる人たちが多いことです。

例えば、ある自治体はSDGsという言葉が流行りだしたら、自治体の全ての計画や事業をその17の目標に当てはめ、職員や住民がその概念を理解するために、再構築するために全庁的な部署を立ち上げ多くの費用と労力をつかっています。これはおかしな話です、自治体のミッションとヴィジョンがしっかりしていれば、後付けの概念に自分たちの考えを合わせる必要はないはずです。ましてやみんながバッジをつけるだけでは何も変わりません。

テクノロジーにかかる様々な言葉や概念も同じです。最近、大手ベンダー企業の幹部の方から、「スマートシティをつくりたい」という自治体からの相談が増えているというお話を頂きました。嘘のような本当の話ですが、まさに言葉が一人歩きして、目的になっている好例でしょう。

言葉や概念は、何かを包括的に伝える際に役に立つことがあります。しかし、結局は手段です。言葉に踊らされて、住民本位の行政運営という結果が伴わないのであれば、一切意味を持ちません。

ただ、自治体運営において流行り言葉は戦略的に利用することはありだと思います。今であればスマートシティやSDGsという言葉を用いた補助金や助成事業などたくさんあります。自分たちのミッション、ヴィジョンを実現し、住民本位の行政を実現するためであれば、戦略的にそのような言葉は活用していくべきでしょう。

流行り言葉は踊らされずに、利用しましょう。

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