実行委員長は、どんなお仕事をするのでしょうか? 応募が多かったので、審査も大変だったのではないですか?

 

戦略を練り始めるところからの会議の仕切りと、応募を集めるところまでの“宣伝隊長”がメイン。今年はコロナ禍で準備募集を締め切った後は、ほとんど事務局の方の仕事で、審査自体に僕は関わらないんです。審査は、北川正恭先生を審査委員長に、大学教授や企業の研究員の方々で構成される審査委員会が実施しています。

僕は審査にまったく関わらないので、最後、審査の結果をもらう立場なんです。なぜ実行委員と審査委員の役割を明確に分けているのかというと、身内の大会にしてはならないという認識があるからです。ただ、実行委員会に入っている人でも応募すること自体は否定していないので、実行委員会のメンバーが候補に選ばれた時には、実行委員会から外れてもらうようにしています。

実行委員長の仕事として他には、授賞式とその前に行うプレゼン研修会の打ち合わせ、協賛企業さんへのご挨拶などもあります。今年は、コロナ禍で、マニフェスト大賞実行委員会の会議もオンラインで開催することが多かったのですが、例年のリアル開催では参加者は7~8人が常だったのが、オンラインだと多い時で20人以上集まりました。東京から遠い地方のメンバーが参加しやすかったのはとても良かったです。そういう意味で、今年の実行委員会は結束してコンテストの準備ができたと思います。

毎回20名ほど集まった実行委員会のオンラインミーティング
毎回20名ほど集まった実行委員会のオンラインミーティング

 

今回、実行委員長という大役をお引き受けになられましたが、正直、地方議員として直接的なメリットは少ないようにも思います。そのあたり、ご自身の思いとしてはいかがでしょう?

 

最初にお話ししたように、どれだけ一人で頑張っても、地方議員が何をしているのか知ってもらえないジレンマがあります。小金井市議会では、2012年と今年、市民にアンケートを取っているんですが、とにかく地方議員が何をしているか知ってもらえていないし、その結果「評価しない」に丸が付いているのが、悔しいです。このアンケート結果を踏まえて、僕自身や議会の広報活動も地道に頑張っています。僕はブログを365日、毎日更新しています。僕の会派では、ほぼ月刊で活動レポート「噂のこがおもマガジン」を発行しています。日刊/月刊というのは、かなり頻度が高いのはお分かりいただけると思います。このように地道に「下」からしっかり活動しつつも、「上」からも広いスケールで環境づくりをして、両方からアプローチしていきたい。マニフェスト大賞によって地域の取り組みにスポットライトが当たり、その情報が全国的に広がることで、地域の人たちが「あ、地方議員って実は結構頑張っているんだね」と思ってもらえるかもしれません。そうすると、小金井市から遠く感じるマニフェスト大賞での仕事が、翻って小金井市の仕事に返ってくるわけです。「業界の地位向上」のようなイメージですかね。まずは市民に地方議員の仕事を知ってもらいたいというのが第一です。

ほぼ月刊の活動レポート「噂のこがおもマガジン」を駅前で配布する白井議員
ほぼ月刊の活動レポート「噂のこがおもマガジン」を駅前で配布する白井議員

 

次に、同じスキームで、地方議会を変えたいんです。議会改革をもっとドラスティックにやりたい。大阪に天保山っていう日本で一、二を争う低い山があるんですけど、僕は議会改革の議論の中で、まずはその天保山に登るだけと考えているレベルのことでも、他の議員にとっては富士山やエベレストを登るようなことに感じられると言われた場面が多々ありました。この大きすぎるギャップがなかなか埋められないので、物事が進みません。「下」から一歩一歩地道に議会改革を進めていくのはもちろん大事なことです。これに加えて「上」から、マニフェスト大賞などを通じて、先進的な議会活動が全国的に周知されると、良い方向へと吸い寄せられていく吸引力が働いて、ひいては地元の議会を変えることにもつながるんです。

そして最後に、僕自身のレベルアップです。マニフェスト大賞の実行委員長を務めていると、全国の議員の方々、特に優秀な議員、経験豊富なベテラン議員もいらっしゃるので、そういう色んな方々をまとめることは、僕の糧になると思うんですよね。恥ずかしながら2015年に市長選に出馬して落選しているのですが、その時は100人単位の組織を引っ張った経験もないまま出馬したので、不安な面もありました。そういう意味では、全国組織を引っ張るような役割を担うことによって、自分のスキルやリーダーシップを磨けると思って、実行委員長を引き受けた部分もあります。さらに、僕自身の知見が広がり、レベルが上がることは、結局、僕が働いている小金井市や小金井市議会にとってもプラスになると思っています。

 

結構ストイックですね(笑) 地方議会のアスリートっていう感じです。

 

よく言われますね。現状維持は衰退だと思っているので。

 

すごいですね。地元の小金井市の中だけではなく、外でも活動するという目線の広さと、パブリックに対する思いがあるんだなと感じました。

 

議員活動で毎日忙しく、決して余裕があるわけじゃないんですけど、それでもやらなければと思ったんです。結局、市の中だけで活動していると、どうしても視野が狭くなり、柔軟な発想ができないことがあります。地方議員の仕事だけやっていると、社会と少しずつ離れていくような気がしていて。もともと民間企業でバリバリ仕事していた立場からすると、民間の人とツーカーで話せなくなるのが、すごくショックなんですよね。民間の最新情報とか、新しい技術とか、トレンドとか、社会や経済の流れとか、そういうこともちゃんと把握しておきたい。どんどん外に出ていくことによって、例えば他の町の議員から面白い人を紹介してもらうとか、僕よりもすごい人たちがたくさんいるわけだから、そういう方々から学ぶのは非常に重要だと思っているんです。

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