会派に入るか、無所属か

稲葉 さて、当選後、実際にスタートした議員活動について伺います。都築さんと星さんは自民党、高松さんと私は無所属です。会派に入ったこと、無所属でいることのメリット・デメリットはいかがですか?

都築 会派には所属していますけど、基本的には自分の思い通りに活動させてもらっていて、それを会派の先輩方がしっかり守ってくれます。先輩方は、僕たち1期目に対して、「自分の言動に責任を持ってやりなさい」というスタンスで、とても有難いです。

高松 大分市議会は、会派を超えてみんな仲が良いですね。納会とかほぼ全員集まりますよ。無所属なのは、議会の中で僕一人ですけど、先輩議員の方々に、とても可愛がってもらっています。当選時は、メディアから相当注目されていたので、先輩方はいろいろアドバイスしてくれて、良い人ばかりだなと思いました。視察にもいろんな会派の方と行きましたよ。

議場で質問する高松議員

議場で質問する高松議員

 

都築 それはね。高松さんは、選挙で1万3000票を獲得して、キャスティングボードを握っているのは大きいと思いますよ。

高松 戦後初めて、1万3000を超える票(実際の票数は1万3653票)をいただきました。この数字は、市民からの期待そのものですから、僕がどうしても訴えたいことがある時には、市長や副市長のところへ直談判にも行きますよ。スポーツ環境の整備も結構進んできたので、無所属でもスポーツ関係の政策は実行できていると思います。ただ、無所属では変えられない部分もたくさんあるので、無所属でいるのも限度があるなとは思っています。

稲葉 高松さんは同じ無所属でも、順風満帆なタイプですね(笑) 苦労話を期待していたんですけど、羨ましいことばかりじゃないですか。

高松 いやいや、苦労してますって(笑) 誰も助けてくれないんで、自分が先輩議員や事務局に聞くしかないんですよ。全部1人で情報を把握しないといけないから、時間のある限り、1人でいろんな委員会に顔を出していますよ。総務常任委員会だけじゃなくて、議会運営委員会にもオブザーバー参加したりと、こう見えて結構大変なんです。

「分からないので教えてください!」が、僕らには恥ずかしくない

元日本代表のゴールキーパー・都築議員

元日本代表のゴールキーパー・都築議員。政治の世界では、「守り」ではなく「攻め」ている

稲葉 スポーツに関連する政策は、私たちにもよく分かるのでイメージしやすいですが、政治の世界では、いろんな分野の知識が必要な場面も出てくると思います。分からないことがあった時は、どうされているんですか?

 サッカー関係者など自分に近しい人だけでなく、ご高齢の方や、障がいをもつ方など、様々な状況の方に訴えていきたいと思ったので、選挙前には相当勉強しましたね。私は議員になってまだ2年半で分からないことがたくさんあるため、「1期生」という立場を有効活用させていただいて、自民党の先輩や議会事務局職員の方になんでも聞きに行っています。

都築 とにかく分からないことが多いわけですよ。「分からないから教えてください!」って、全然恥ずかしげもなく、僕たちは聞きに行けるわけです。職員さんは行政のプロ。その人たちに聞くというのが、一番勉強になるんですよ。分からないことを教えてもらって、地域を回っていたら、いろんなところから課題がやって来るわけじゃないですか。例えば、道路の設置についての要望があったとして、1から勉強です。「どうやって動けばうまく実現できるのかな」と考え出したのが、1期目の終わりくらいですかね。

高松 僕も皆さんと同じです。スポーツ関係のことは、だいたいスポーツ振興課と話し合いながら動いていけますけど、やっぱり道路や福祉といった分野は分からないことが多かったので、まず何でも聞きに行っていましたね。市民の方から要望を聞いて、市の職員に状況を聞いて、それを市民の方に返したり、先輩議員に相談したり。得意分野と勉強が必要な分野があるのは、仕方のないことなので、周りの皆さんにいろいろ聞きながら、市民の方に納得いただけるように心がけて動いています。市政の発展のために、市民に寄り添って頑張ってますよ!

稲葉 スポーツを頑張り抜いた人は、「へこたれない」「くじけない」「あきらめない」。どんな苦難も、乗り越えられる素質があると思います。政治の世界に入っても、豊富な運動量を活かして役所の各部署にいろいろ聞いてまわったり、政策がなかなか実現できない時に最後まであきらめなかったり、サッカーで培ったスキルや精神力を活かして、闘い抜ける力があると思っています。

「後編」へつづく


 

【参加者プロフィール】 

都築龍太 <さいたま市議会議員/自民党/2期目>
1978年、奈良県生駒郡平郡町出身。国見高校卒業後、97年にガンバ大阪入り。2001年に日本代表に初招集される。2003年に浦和レッズへ移籍し、2007年にはACL制覇に貢献。2010年6月に湘南ベルマーレへレンタル移籍し、2011年1月に現役引退を決断。プロ生活14年、J1通算250試合、日本代表6試合出場した。引退後は政治家へ転身し、2011年4月の埼玉県議会議員選挙に初出馬も落選。一度は「もう選挙に出たくない」と考えたが、子どもたちに夢を語るうちに、「やっぱり自分も目標を諦めたくない」と思い、再出馬を決断。2015年4月のさいたま市議会議員選挙に初当選。2019年4月に2選を果たした。

星だいすけ <町田市議会議員/自民党/1期目>
1980年東京都町田市出身。立山崎高校卒。1999年に横浜マリノスユースからトップ昇格、2000~2002年東京FC(2000年8月~2001年大宮へ期限付き移籍)、2003~2004年山形、2005~2007年京都、2008年~2009年栃木、2010~2011年町田セルビアでプレー。攻撃力のあるMF(右サイドハーフ)として活躍した。プロ生活13年、J1通算28試合1得点、J2通算132試合19得点。2011年にJ2町田セルビアで現役を引退し、2012年からクラブのフロントに入り、「営業ホームタウン課長」として営業などを担当した。出馬に向けて2017年12月に退社、2018年2月町田市議選に初出馬で初当選。

高松大樹 <大分市議会議員/無所属/1期目>
1981年山口県宇部市出身。多々良学園高校(現高川学園高校)卒。2000年に大分トリニータに入団。2004年アテネオリンピック出場(スタメン出場3試合)。2006年には日本代表に召集(A代表出場2試合)。2008年ナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)ではエースストライカーとして活躍し優勝。大会MVPに選出。2010年FC東京に期限付き移籍も、翌年大分復帰。2016年現役引退。大分で16年プレーし、“ミスター・トリニータ”の愛称で親しまれた。2017年「地域への恩返し」として大分市議会議員選挙に出馬し、13,653票を獲得するトップ当選。2020年にはYouTubeチャンネル「高松大樹のMr.channel13」を立ち上げて、見ている人を笑顔にする動画配信をしている。

稲葉まさはる <吉川市議会議員/無所属/3期目>
1986年埼玉県吉川市出身。大宮東高等学校では、サッカーで関東大会出場・インターハイ2年連続出場・副部長。Jリーグ入りを目指して専門的トレーニングを続けたものの、その夢は叶わなかった。社会人、ハワイ島での農業、東日本大震災被災地でのボランティア活動、自主映画上映会の開催等の経験を重ねる。2012年、25歳の時の吉川市議会議員選挙で、1193票を獲得して初当選。現在3期目。第11代副議長。吉川市サッカー協会会長。

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