SDGsという言葉を目にしない日はありません。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、これは2015年9月の国連サミットで採択された国連加盟193カ国によって2030年までに達成すべきとして掲げられた目標です。この17の目標は、今の世界が抱える課題を解決し、持続可能な社会を未来に繋ぐために、実現すべき人類の共通テーマと言っても差し支えないでしょう。
SDGsに積極的に取り組む自治体も増えつつあり、総合計画の中に組み込まれる事例も珍しくありません。2019年5月まで川崎市議会議員を務めていた筆者は、自治体としてもSDGsへの取り組みを進めるべきだが、殊に基礎自治体である本市においては、より具体的かつ実効性の高い施策を推進すべきであると考えていました。
政策を推進するに当たって、まずすべきことは、それを実施する根拠と得られる効果を明確に示すことです。人口減少社会に突入した我が国においては、限りある公共資源を有効かつ効果の高い分野に集中して振り向けねばなりません。それは地方議会の意思決定においても同様で、情緒的な議論から、証拠に基づく政策立案=EBPM(Evidence Based Policy Making)への脱却が不可欠です。
マイクロプラスチックの実態を探る
SDGsと時を同じくして、頻繁に目にするようになった「マイクロプラスチック問題」。
これはSDGsの目標の一つである「海の豊かさを守る」に関連する問題でもあります。プラスチックごみの海洋投棄が世界各地で問題となっていますが、このまま対策を講じない場合、2050年には海の魚の量とプラスチックごみの量が同じになるといわれています。「海のプラスチック汚染」は、気候変動と並ぶ人類への脅威として認識されつつあります。
環境省の資料によると、日本のプラスチックごみの海洋への流出量の推計は世界30位で、1位の中国の1.5〜1.6%と、日本のみが努力して解決できる課題ではありません。図1に示す通りプラスチックごみの流出はアジア諸国が上位を占めていますが、世界全体の流出量を減らすために日本がリーダーシップを発揮して、環境技術の開発や対策の推進を行っていく必要もあるのではないかと考えます。
プラスチックごみは、陸上からさまざまな経路を通じて海へと流出し、紫外線などにより5㍉以下の小片に細分化し、マイクロプラスチックとなります。このマイクロプラスチックを魚や貝や海鳥が食べてしまい、食物連鎖の中で最終的には人体にも取り込まれます。人体への影響はまだ明らかになってはいませんが、海洋生物への蓄積は報告されており、生態系への影響が懸念されます。
さて、このマイクロプラスチックですが、この流出経路は明らかになっていません。
我が国でのマイクロプラスチック対策といえば、プラスチック素材を使ったストローやレジ袋の廃止など、一部商品について取り沙汰されることが多いのですが、それではこの問題の根本的解決とはなり得ません。我々の産業や生活全般を見渡して、根本原因を探る必要があります。
【SDGs最前線(2)】調査手法がまだ確立されていないマイクロプラスチック