地球温暖化に繋がる温室効果ガスの排出を削減する「脱炭素社会」の実現に向け、世界各地で様々な取り組みがなされています。昨年秋には日本政府も「2050年までの二酸化酸素排出量をゼロにする」という目標を掲げるに至りました。
カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。イギリスを始めとした欧州、米国、豪州等での取り組みが活発であり、我が国でも民間での取組が拡がりつつあります。(環境省HPより)
具体的には自らの排出量を他の場所の削減量(クレジット)と取引することで相殺することを指します。地球温暖化対策と雇用・経済対策を一体的に推進することができるグリーン・ニューディール促進策の一つとして期待されています。
北海道下川町と横浜市は、共にSDGs未来都市として環境保全活動に積極的な自治体ですが、この取り組みをさらに後押しすべく、カーボン・オフセットを目的とするクレジットを自ら購入し、CO2削減に取り組む地方議員の活動を、今回PublicLab編集部にて取材しました。
横浜市戸塚区と北海道下川町は、平成23年に下川町、戸塚区川上地区、戸塚区役所の三者で、友好交流協定を締結しました。両地域は以前より地域イベントでのカーボン・オフセット等の交流を行っており、さらにこの交流と連携を深めていくことを目的としての協定締結です。これを受けて、小学生の相互受け入れやエコイベント等での下川町の間伐材を利用したキーホルダーづくりや、相互に環境意識を向上させるべくネーミングライツ(命名権)も利用し下川町町有林の一部を「とつかの森」と名付けるなどの取り組みが行われています。これらは継続的な取り組みではあるものの、交流事業の域を出ず、具体的にカーボン・オフセットには結びついていないのが実情です。
そこでさらなる推進が必要だと考えた横浜市議会議員が発起人となって、戸塚区選出の県議会議員3名、市議会議員6名が、下川町からオフセット・クレジットを購入し、CO2削減への取り組みを始めました。地方議員が率先してクレジットを購入することで、行政に対し範を示した形です。
2021年2月15日には、下川町議会と、戸塚区の9名の議員(以下、戸塚区議員団)との間で、カーボン・オフセット証明書授与式と交流会が行われました。コロナ禍のためオンラインでの開催となりました。
戸塚区議員団はそれぞれ2tずつ、合計18tのクレジットを購入。各議員の運営する小規模な事務所で排出されるCO2は、1ヶ月あたり130〜150kgと推計されています。議員の任期である4年間で排出される総量が6.2〜6.4tとなり、今回購入されたクレジットはその一部相殺に充てられます。
次のページでは、イベント(証明書授与式および交流会)の様子をお伝えします。