オープンなプラットフォーム

そもそも民間は「公共サービスは短期的に大きな収益がでるものではない」ことは理解しています。ですから、たとえば5年とか10年とか、投資回収までのリードタイムを長くとりたいと考えます。

しかし自治体は、行政の原則である “公平性の確保”の観点から「同一の民間事業者に長くまかせてはいけない」とか、「A社に3年委託したら、そのあとは別の企業に」などと考えがちです。そのため、公共サービスへの参入をためらう企業が少なくありません。

もちろん、公平性の確保は重要です。しかし、公平性の定義が変わるというか、みんなが納得する「それは公平だ」というカタチが別にあるはずだとも思います。そのヒントとなるのが、おもに欧州で盛んな「フューチャーセンター」だと思います。

「フューチャーセンター」は企業や行政、さらには市民などの民間も広く参画して、社会課題とその解決策を話し合う場です。行政の領域でいえば、市民や企業の提案を受けて新しい政策が立案されることもあるし、政策課題を相談し、解決策を見出していくために活用されています。

それだけではなく、具体的な「公共入札」まで実施する機能もあります。市民参加のオープンな場で事業者選定が行われ、当然、入札実施の情報と入札参加の門戸などもすべてオープンにされているので、これ以上、公平な場はないでしょう。「フューチャーセンター」のケースのように、公平性は「機会の公平性」で担保することは可能です。

環境整備は急速に進む

私は5年ほど前、横浜市議会議員時代に「フューチャーセンター」を現地視察し、大きな感銘を受けました。それぞれでは解決困難な社会課題を立場を超えた集合知で解決していくオープンなプラットフォームこそ、これからの日本に必要だと感じました(フューチャーセンターについては稿を改めてまた詳しくご紹介しようと思います)。

そして、日本版フューチャーセンターの整備につながる基礎的な条件は、徐々にではありますが整いつつあるように感じます。いまはまだ小さな動きですが、今後5年以内に急速に環境整備されるのではないか、という感覚があります。

そうした日本の公民連携の進化と深化について、この連載で逐次、情報発信していきたいと思います。

第2回に続く

 

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