市民生活と直結した政策作りを~シビックテックで実現したテイクアウトマップ~

新型コロナウイルス感染症の影響が世界中に波及しております。日本でも緊急事態宣言が全国に拡大され、各自治体はその対応に追われています。こうした非常時における地方議員の役割は何か? 各議員がそれぞれ自問しながら地域とのかかわりを模索しています。

横浜市会議員の藤崎浩太郎さんは、地域の飲食店のテイクアウトマップを作って、それを広める活動を始めました。藤崎議員自らがシステムを組んで作り上げた仕組みは、今では他都市にも広がり始めています。

(聞き手=PublicLab 編集長 小田理恵子)

 

テイクアウトあざみ野」というサイトを藤崎さんが中心となって立ち上げたとお聞きしました。「テイクアウトあざみ野」は、横浜市あざみ野地区のテイクアウトや出前が可能なお店を紹介する取り組みですけれど、これを始められた経緯についてお話を聞かせてください。

 

今回の新型コロナウイルス感染症の影響が様々な場所に出ています。政府や自治体でも様々な支援を提供し始めています。国からどんなメニューでお金が下りてくるのか、横浜市からどんなメニューが出てくるのかは市民の関心事だと思います。しかし、それによって失われる売り上げや給料が満額戻ってくるわけではないでしょう。

地元の飲食店や旅行代理店なども売り上げが著しく下がり困っていると聞いていますから、自分でも何かできないかなと考えたのがきっかけです。

 

藤崎さんは普段から頻繁に地元のおいしいお店をSNSで発信していらっしゃいましたよね。投稿を見ているとお店の人達とも本当に仲が良いのが伝わってきました。そういった関係性が出来ている中で、困りごとを聞いてつくられたのかなと思っていました。

 

私も地域に事務所を構えている商店会員であるし、日頃から地域の会員としてもお付き合いをさせてもらっています。いろいろなお店のいろいろな役割って、あるはずだと思うのです。平時であれば夏祭りにお店から人を出してもらったり、旅行代理店にバス旅行を企画してもらったり。

そうした関係がある中で、自分が持っているリソースをどうやったら活かせるのかなと悩んでいました。テイクアウトマップ自体は各地で作り始めていたのを把握していましたが、331日に文京区長が、テイクアウトマップを開設すると公表しているのを見て、最初は「これを横浜市でも実施すべきだな」と思いました。

それでその日すぐに担当局の局長に電話で「こういうのをやるべきではないか」と話をして、局長と商業振興課の課長と、政策局のオープンデータ担当の部長の3者に対して提案を行いました。提案書を作って持って行って・・・

 

え?話だけでなく、提案書を持っていかれたんですか?!

 

はい。簡単なものですけど。これです。

市役所に提出した提案書の表紙

 

目的や効果だけでなく、具体的なサイトのイメージもあってわかりやすいですね。提案書を作って行政にプレゼンする議員さんってなかなか聞かないですよ!

 

ありがとうございます()

提案はしましたが、役所なので意思決定に時間かかるだろうなと思いました。

そこで、翌日1日にあざみ野商店会の役員メッセンジャーグループに「こういうことをやりたい」と投げて、プロトタイプを見てもらいました。

 

プロトタイプ?!その日のうちに作られたのですか?

 

テイクアウトマップってこんなものだよと言葉で説明するよりも、見てもらった方が理解しやすいじゃないですか。自分でイメージしたものをそのまま形にした方が早いなーと思い、googleのサイトとマップとフォームを使って作りました。

 

テイクアウトあざみ野のホームページ

 

公開されているテイクアウトあざみ野のサイトを見させてもらいました。あれの簡易版みたいなものを作ったのでしょうか

 

ほぼこれです。これをつくりました。違ったところと言えば、登録店は無いので、ダミーで何件かの店舗情報を入れていたくらいです。

 

何と!これ、藤崎さんご自分でコーディングしたんですか?

 

Googleはパーツになっているんですよ。部品くっつければできるので、自分で夜中にバーッと作りました。コーディングまでは出来ないですけど、この程度ならやり方は知っているから自分でやっちゃいました。

 

確かに自分でやればスピード感が違いますよね。

 

横浜市に提案した日の夜、SNSで「市にこういう提案を行いました」という投稿をしてみました。観測気球を上げる感じで、反応あるかな?と見てみたのです。反応が良かったので、急いでプロトタイプを作って、その日の夜に商店会に見せました。そこで「やろう!」となって2日の朝に商店会から参加店舗の情報をもらって2日にリリースしました。

 

市への提案から僅か2日でリリースですね。すごいなあ! リリース後、市民の方々への告知はどのようにされたのでしょう?

 

商店会や関係者がそれぞれSNSで告知したり、地域SNSグループへも投稿したりしました。

さらに地域のフリーペーパーにも連絡して記事を掲載してもらいました。SNSだけだとリーチしない人もいますから、電子と紙、両面での告知を行いました。

同時に、2日の日だったか・・・市ヶ尾の商店会(市ヶ尾商栄会)の役員に「あざみ野でこういうのやり始めたんです」と連絡をしました。その役員がその日のうちに藤が丘商店会にも連絡してくれました。そうして広がっていって、今はあざみ野のほかに5エリアのテイクアウトマップが立ち上がっています。

スポンサーエリア
おすすめの記事