【質疑応答(一部のみ掲載)】

(たぞえ議員)全体の質疑応答に入る前に、私からチャットでいただいた質問や感想を踏まえていくつか伺います。イーデザイン損保さんからの寄付金額が50万から100万円ということですが、これだけでは実証実験などが難しいかもしれません。自治体がすでに実施している施策の追加予算として組み込むのが前提なのでしょうか。

(伊佐治氏)もちろん単体でできるような小さな案件でもいいですし、追加予算として考えていただく形でもよくて、そこはある意味で線引きをしないでいいと思っています。また案件によっては、この額も変わってくるかもしれません。1企画と書いてありますが、もし良い提案が複数あった場合、複数案件が採用となる可能性もあると思います。

(たぞえ議員)企業さんはお金を出すだけではなくて、例えば、保有データを出すとか、何か一緒に作るとか、動く包括連携みたいなイメージなのでしょうか。

(伊藤)そうですね。今回の逆公募プロポーザルは、2019年にできたばかりのPublic dots & Companyと東証1部のSCALAさんで協働して行う事業となっています。これはまさに、お互いの持っている価値で、新しい価値を共に創るコ・クリエーション。最初からこのサービスを作ろうと思っていたのではなく、ディスカッションする中で、「コ・クリエーションってこういうことだよね、社会に価値を生むってこういうことだよね」と、価値観を共有できたからこそ、この「逆公募プロポーザル」というサービスが誕生しました。実はこれと似ているなと思っていて、企業と自治体が出会って、最初から「何でもかんでもやりましょう」とはいかないと思います。お金や人の出し方であったり、プロジェクトの進め方であったり、価値観がうまくマッチしていくと、自由にいろんなことがデザインできるはずです。今回も企業の方が最初から「このお金をこんな風に使ってくださいね」と決めてしまうと、多分うまくいかないと思います。そこを丁寧に企業にアドバイスしてからプロポーザルを始めていくのも、弊社の役割だと思っています。一方で、自治体さんも同じで、「お金がもらえればいい」という発想だと、これもまたうまくいかないと思います。エントリーの締切後に、自治体と企業の間でコミュニケーションが始まり、その後の展開には多彩なバージョンが出てくるでしょう。予算の範囲の中でやりたいというケースもあるだろうし、寄付金を基に連携しながら事業を大きくしていく場合もあるかもしれない。最初からあんまりかっちり決めすぎない方が、うまくいくだろうと考えています。

(たぞえ議員)第一弾は保険会社さんなので、初めは保険関係の新規開発なのかなと思っていたのですが、かなり公共に対してコミットしてくださるんだなと思いました。本業の利益には、直接つながらないはずですよね。

(伊佐治氏)今回の例で言えば、「新しい保険の開発に何かお手伝いしてください」みたいな形だと、多分自治体の方は手を挙げづらいのではないかと思います。新規事業を開発する企業にとって、現在の事業分野による目先の利益を大事にする時代から、世の中のためになる事業を展開し、先々利益として返ってくるものを大事にする時代へと移ってきているように感じます。世の中のことを考える企業さんが、自然とこのプラットフォームに来てくださるのかなと思っています。

 

*ここから全体質疑

(事務局・白井とおる議員)今回事例として挙げられたのが損保会社さんでしたが、マッチする業界とそうでない業界、特にこの業界が面白そうみたいなのがあれば教えてください。

(伊藤)すべての業界がマッチすると思うんですよね。例えば、介護。最近では、介護業界のデジタル化、ロボット・AI導入などが進んでいます。自治体が解決したいと思っている、介護に関する課題はたくさんありますし、そこに参入したい企業もたくさんある。これは介護業界以外でも同じことが言えます。課題を解決したいと思っている自治体と、同じ思いを持つ企業が出会いさえすれば回っていくのですから、ジャンルは選ばないんじゃないかと思います。

(事務局・三浦ひらく議員)都会の自治体が優先ということはあるのでしょうか。田舎の町だと、地域の課題も都会とはかなり違ってくるのですが、田舎の町が手を挙げても採用いただけるのでしょうか。

(伊佐治氏)地方創生という言葉が言われていますが、都会の会社と都会の自治体が手を組むというイメージよりは、むしろローカルにリーチしていきたいという感覚が見受けられます。都会は便利になりすぎて、都会はすでに解決策を持っている場合も多いです。企業側は、地域課題がたくさんある地方に目を向けているように感じます。

(伊藤)ビジネスのいろいろなシーンで、最初からマス市場を取ることを考えて成功しているケースは意外に少ないですよね。ニッチを極めた結果、それがマスに広がっていくというビジネスの方がむしろ多い。そういう意味でいうと、例えば今回のイーデザイン損保さんが、最後どこを選ばれるかは分かりませんが、同じ「安全安心な移動」と言っても、大都市・中核都市・田舎の町では全然状況が違ってくるわけで、同じテーマで違う答えが来るわけです。これは企業から見たら、実はすごい魅力だと思うんです。だからこそ、企業が単純に人口などの数で選ぶかというと、そうではない気がしています。

*その他にも議員の方、公務員の方と意見交換しました。

 

(たぞえ議員)「逆公募プロポーザル」一見すると企業からの寄付を受けるためのコンペですが、今日お話しを伺い新しい官民連携・官民共創のカタチということがわかりました。自治体がどのような課題を抱えているのか、またそれに対して企業は何ができるのかを模索する中でお互いの視野が広がり、協業という言葉よりももっと柔らかなコミュニケーションが生まれる仕組みなのだと理解しました。今後の展開も楽しみです。今日はありがとうございました。

 

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<絵:板橋区議会議員 南雲由子さん

 

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1、概要説明編

2、質疑応答編

 

※本件に関する詳細は、こちらのプレスリリースをご覧ください。
・イーデザイン損保によるプレスリリース
・Public dots & Companyのプレスリリース

【逆公募型プロポーザル事務局】株式会社Public dots & Company
【問い合わせ先】info@publicdots.com