ワインで地域と世界をつなぎたい

本目 ワイン造りと議員活動の2つだけでも大変そうですが、語学の勉強にも熱心でいらっしゃるんですよね?英会話教室の先生もされていたと伺いました。

蓮見さん はい。得意な英語を活かして、オンラインで教えることもありますね。スペイン語は、大学時代にメキシコへ1年半留学して習得しました。英語とスペイン語に関しては、以前に通訳の仕事をしていた時期もありました。語学は大好きで、今はタイ語と韓国語をオンラインで勉強しています。私たちのワインをアジアへ輸出している関係で、アジアの言語を学びたいと思ったんです。

新宿のデパートに出店

新宿のデパートに出店

たぞえ すごいアクティブですね!何足のわらじを履かれているのかと、びっくりします。蓮見さんの1日のスケジュールを著書で拝見したのですが、4:30起床など過酷なスケジュールのように感じてしまいます。蓮見さんの1日が24時間だとは思えないです!

蓮見さん いやいや、たしかに議員時代は一般質問前の下調べにかなり時間はかかりましたが、今はもう議員じゃないので、皆さんが思うようなキツキツなスケジュールではないです(笑)。でも、両親からは「生き急いでいる」なんて言われますけどね(笑)。

たぞえ さらに、議員活動の傍ら、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科の修士号も取得されていますよね?やはり政策面でのご興味によるものですか?

蓮見さん はい、そうですね。修士論文のテーマは、海外と日本の政治の比較でした。

本目 明治大学の大学院って、東京にありますよね?オンライン授業ですか?

蓮見さん いや、通学していました。幸いなことに、新幹線を使えば東御市から東京まで1時間20分なんです。17時まで議会に出て新幹線に乗ると、19時の授業に間に合うんですよ。2コマ出席して、22時過ぎの最終で帰ってくるという感じです。

本目 それはびっくりです。でも、また翌朝早いんですよね?

蓮見さん 早いと言っても、まぁ5時くらいですよ。40代後半になるとキツイですが、30代は燃えていたので、全然大丈夫でした。明治大学は留学生が多いので、いつか日本と海外の政治やまちづくりについて、ディスカッションしながら教えてみたいですね。

コロナ禍でも悪天候でも、全世界に向けて発信できる 「オンラインワイナリーツアー」

コロナ禍でも悪天候でも、全世界に向けて発信できる 「オンラインワイナリーツアー」

 

インターン 蓮見さんは約70か国を旅されたということですが、まちづくりの観点で、このまちがいいなと思われた場所はありましたか?

蓮見さん アメリカ西海岸オレゴン州のポートランドです。一番すごいと思ったのは、オレゴン州には消費税がないんです。法人税にも優遇があります。それらが理由で移住する方も多いようです。積極的に企業誘致をしていて、アメリカを代表するような大企業の本社があったりしますね。あとは、街がドーナツのように構成されていて、内周・外周など円がいくつかあり、円ごとにどういうまちづくりをするかテーマを決めているようです。その辺りが面白くて、海外から視察が殺到しているのも納得です。官民連携もうまくいっているようですね。ちなみにオレゴン州はワインも有名で、長野県と緯度も気候も似ている部分があって、私たちが目指しているワインはオレゴン州のワインと似ている部分もあります。

たぞえ 蓮見さんはいろんなことに取り組まれて、生き方が素敵だなと思うのですが、ご自身の人生の軸というのは何でしょうか?

蓮見さん ルーツが海外なので、田舎にいながらも、海外との接点をもっていきたいなと思っています。今はCOVID-19の影響で海外へ行くのはなかなか難しいですが、終息したらまた海外へガンガン行きたいなと。海外へ行かないと、いっぱいいっぱいになって倒れちゃうんですよ(笑)。そういう意味では、モチベーションになっていると思います。いつか世界を飛び回ってワインを造ったり販売したりする「フライングワインメーカー」になりたいですね。

たぞえ 空飛ぶ醸造家ですね、素敵です!最後におすすめのワインを教えていただけますか?

蓮見さん ピノ・ノワールというぶどうから造る赤ワインに力を入れていまして、5年くらい前から、アジアを中心に海外へ輸出しています。自分たちでぶどうを作って、野生酵母で発酵させて、木の樽で熟成させていて、味わいもおすすめです。山の中の小さなまちでも、農業を通じて世界と話ができるということを証明してくれたワインなんです。ワイン造りを始めた頃から「ワインを造って海外に輸出して、世界とつながりながら地域を元気にしていきたい」という想いがあったので、その第一歩が踏み出せたワインです。今後はアジアだけでなく、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアにも輸出していきたいと思っています。

たぞえ・本目 ぜひ飲んでみたいと思います!今日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。

 

【インタビュー後記】

たぞえ 海外と政治とワイン、お話を伺って三者のつながりが見えてきました。蓮見さんは物事を俯瞰的・構造的に見ていらっしゃる方なので、いつでも議員に戻っていただきたいなと思いました。政策面でも、ビジネスマンとしても、とても参考になるお話でした。

本目 今自分がやるべきことを、信念をもって実行していらっしゃる方だなと感じました。縁もゆかりもない土地で「恩返し」を原動力に議員となり、地元とそこで育むぶどうとワインを愛し、東御市から世界へと架け橋をかけようとする姿に感銘を受けました。

インターン パラレルキャリアをこんなにも自然にこなせる方がいらっしゃるでしょうか。自分の夢に向かって、自然に行動できる方という印象でした。分刻みのスケジュールの中、貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。

ひろげよう!ママインターンプロジェクト
2021年1月より活動。地方議員とママが協力し、まちを良くするために共に学び成長するママインターンシップ。 子育て支援や女性政策などを政策の柱として活動する、東京都台東区 本目さよ区議が始め、広めている取り組み。今回のインタビューには、このママインターンが参加・取材した。くわしくはこちら⇒ https://hiromamapj.com/

(文・PublicLAB編集部/人材事業部 冨山美欧)


 

【プロフィール】

蓮見 よしあき(はすみ・よしあき)
元長野県東御市議会議員
(株)はすみふぁーむ代表取締役

東京都世田谷区に生まれ、その後は愛知県で育ち、中学時代に渡米。アメリカ・テンプル大学(コミュニケーション学部ラジオ・テレビ・映画学専攻)卒業。メジャーリーグの球団職員や国内メーカーの海外営業マネージャー等を経験し、世界中を飛び回る。訪問国数は約70カ国。国内ワイナリーにてワインビジネス全般を学んだ後、独立を決意。2005年、長野県東御市に移住し「はすみふぁーむ」設立。5年後には全国で初めてワイン特区制度を利用したワイナリーを立ち上げた。2008年、東御市議会議員選挙に初出馬し、トップ当選。2期8年を務め、まちづくりや地域活性化に尽力。議員活動の傍ら、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科で修士号取得。著書に「ゼロから始めるワイナリー起業」(虹有社)、「SNSで農業革命」(碩学舎)などがある。

 

本目さよ(ほんめ・さよ)

台東区議会議員/WOMANSHIFT代表

横浜市・八王子市育ち。大学・大学院で心理学を専攻。(株)エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートに入社し、人事部で働きやすい職場にするための各種制度を策定。「性別に関わらずやりたいことができる社会をつくる」ため、2011年に台東区議会議員選挙に立候補し初当選。現在3期目。気軽に政治に関われる「ママインターン」を展開中。

 

田添麻友(たぞえ・まゆ)

目黒区議会議員

東京都目黒区生まれ。大学卒業後、専門商社に2年勤務し、ベンチャー系経営コンサルティング会社に転職。3児の母となり、待機児童問題に直面。高校生のときから環境問題等を解決したいという想いもあり、2015年に地元・目黒区から無所属で立候補し初当選。現在2期目。

スポンサーエリア
おすすめの記事